あなたの記憶から鮮明に蘇る、少女(処女)の煌めき『あの娘が海辺で踊ってる』

あの娘が海辺で踊ってる 山戸結希 富田優子 加藤智子 上埜すみれ 若月悠 福本一馬

 あなたは少女であり処女だった頃の気持ちを覚えていますか?
性を嫌悪しながらも近づきたい、行き先不明の感情。根拠なきプライドと、信頼する人への依存。赤裸々でありながらも、大切な感情を思い出させてくれる映画を紹介します。
現役女子大生・山戸結希監督が初めてメガホンをとり、第24回東京学生映画祭で審査員特別賞を受賞。本作は、山戸監督のPFFアワード入選短編『Her Res~出会いをめぐる三分間の試問3本立て』と、新作舞台『さよならあの娘』との3本立ての上映になります。

 AKB48に憧れる美少女・舞子(加藤智子)はその自意識過剰な性格から、海辺の田舎町で浮いている。唯一の友達である日本舞踊が趣味の“ホトケの菅原”(上埜すみれ)と強い依存関係にあり、菅原が他の友達と喋るだけでも嫉妬し、嫌悪してしまう。
ある日、二人は三味線部の男子生徒・笹谷、古野と出会う。それにより、少しずつ心が変化していく舞子と菅原。淡い恋の音色と東京への憧れがひと夏の空に溶け込み、彼女たちの行き先は――?

 舞子と菅原、笹谷と古野の4人それぞれの感情が三味線の音色で絡まり合う、とてつもなくエモーショナルなクライマックスは必見です。
処女作とは思えない、処女性を感じさせる少女たちのみずみずしい魅力を見せる山戸結希監督の若き才能に触れてください。
すっかり肌寒くなった秋の夜ですが、スクリーンの中の少女たちとともに海辺で夏の温度を感じてみてはいかがでしょうか。
きっとあなたの恋も、その温度に溶け込むはずです。

あの娘が海辺で踊ってる 山戸結希 富田優子 加藤智子 上埜すみれ 若月悠 福本一馬

11月10日(土)よりポレポレ東中野にてレイトショー(16日まで)

監督・脚本・撮影:山戸結希
音楽:富山優子
キャスト:加藤智子、上埜すみれ、若月悠、福本一馬
2012年/日本映画/50分

Text/Michihiro Takeuchi