人を愛する者だけが“正義”を名乗れる

劇中画像 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

『キングスマン』シリーズの悪役はどこか共感を呼び、確固たる美学を持って人類を脅かそうとする。
前作のヴァレンタインは地球環境への負担を軽減させるため、彼なりの正義感を持って世界の人口を減らそうと目論んだ。
本作のポピーの陰謀もまた、それは良いことなのか悪いことなのか、様々な議論を呼びそうな意思で世界を遠隔操作しようとする。

 端的に言うと「麻薬をやってる奴は全員死ね」というのがポピーの目的だ。麻薬に手を染めた人間だけが死の恐怖に苛まれる。現代を憂うかのように1950年代仕様の隠れ屋兼テーマパークにひきこもり、古き良きアメリカのノスタルジーに浸り切っている。
しかし、人は過ちを犯すもの。法に触れたからといって命を奪うなんて言語道断である。

 スパイ機関「キングスマン」の掟として、恋人や家族を作ってはならない。だが、エグジーは掟を破って大切な人のために戦う。人を愛する者だけが“正義”を名乗れることを、人として持つべき品格を、今回はハリーではなくエグジーが教えてくれる。
前作はハリーが首尾一貫エレガントな品格を見せていたが、今回はハリーの成長する様を楽しむことができる。ドジで天然な姿も伺えて、コリン・ファースに初めて“萌え”を感じる人続出に違いない。

 一筋縄ではいかないキャラクター造形が、単なるヒーローアクション映画にさせはしない。
イギリス映画ならではのアイロニカルなアメリカ描写や、毒々しいジョークの数々が観る者を惹きつけ、終始ニヤニヤが止まらないだろう。

ストーリー

 スパイ機関「キングスマン」が、麻薬組織「ゴールデン・サークル」のミサイル攻撃によって壊滅される。
一流のエージェントに成長したエグジー(タロン・エガートン)と教官兼メカ担当のマーリン(マーク・ストロング)だけが生き残り、敵を追うために同盟を結ぶスパイ機関「ステイツマン」の協力を得ようと二人はアメリカに飛ぶ。
そこで、1年前に死んだはずのハリー(コリン・ファース)とまさかの再会を果たす――。


2018年1月5日(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

監督・脚本:マシュー・ヴォーン
キャスト:コリン・ファース ジュリアン・ムーア タロン・エガ―トン マーク・ストロング ハル・ベリー エルトン・ジョン  チャニング・テイタム ジェフ・ブリッジス
配給:20世紀FOX映画
原題:Kingsman: The Golden Circle/イギリス映画/141分
URL:『キングスマン:ゴールデン・サークル』公式サイト

前売り券

Text/たけうちんぐ

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