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  • 2017.12.28

愛する人の本当の姿なんてわからない。長澤まさみ×高橋一生『嘘を愛する女』

キャリアウーマンの由加利は、5年間同棲している恋人・桔平がくも膜下出血で倒れたことをきっかけに、彼の名前も職業もすべてウソであることに気付く——。長澤まさみ×高橋一生で描く“推理”的ラブサスペンス。

嘘を愛する女
©2018「嘘を愛する女」製作委員会

 愛する人のことをどれだけ知っているだろうか。
いくら言葉を交わして身体を重ねても、心の中までは見えない。どんなに毎日顔を合わせていても、その人の真実には辿り着けないことがある。

 由加利は同棲している恋人・桔平のことをすべて知っているつもりだった。それがまさか、その名前も職業も、すべてウソだったなんて――。

 新たな才能を発掘する「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」でグランプリを受賞した企画を、CMディレクターとして活躍する若手監督・中江和仁が映画化。
長澤まさみと高橋一生が恋人同士という話題沸騰必至のキャスティングだけでなく、さらにDAIGO、川栄李奈、黒木瞳、吉田鋼太郎といったバラエティに富んだ面々が脇を固めている。

パズルのように桔平の過去が暴かれていく

嘘を愛する女
©2018「嘘を愛する女」製作委員会

 一見、結婚詐欺師に欺かれたか、信じていた恋人に裏切られたか。と、単なるキャリアウーマンの悲劇を描いた作品に思わせる。
が、蓋を開けてみると探偵とともに恋人の過去を探る推理劇であり、愛に溢れたロードムービーでもある。

 桔平(高橋一生)が書いていた小説が見つかり、その物語の舞台・瀬戸内海へと由加利(長澤まさみ)と私立探偵・海原(吉田鋼太郎)が向かう。ロウソクに見える灯台や桔平が探していたオモチャなど、伏線として数々のキーワードがパズルのように埋まっていき、桔平の過去が浮かび上がるというミステリー的な面白さがある。

 また、桔平自身だけでなく、由加利もまた自分が何者なのか問い詰めていく。ウーマン・オブ・ザ・イヤーに輝き、完璧な女性像を体現しながらも、どこか満たされない。何を目的に仕事をしているか、日々を何のために生きているのか、自らを見つめ直す心の旅路にもなっている。

「あなたは誰?」

――見せかけの虚勢で生きていないか、由加利は自分自身に問いかけるように桔平との5年間を追っていく。

フィクションの中から真実を掴み取る

嘘を愛する女
©2018「嘘を愛する女」製作委員会

 ウソをつかれていたことに最初は憤り、我を忘れていた由加利。だが、やがて真実に辿り着いた時、桔平の切実な愛情を知る。
たとえウソであっても、決して“騙されていた”わけではない。桔平のウソの中のホントを愛することになる。

 小説が桔平にとって何の意味を持つのか。フィクションの中から真実を掴み取るのは、まさに由加利の旅路そのものである。

 名前も職業もウソであっても、桔平とともに過ごした時間や、髪を触る手の温もりは決してウソではない。
くも膜下出血で倒れたままの桔平とのやり取りが回想で描かれ、過去と現在を何度も行き来する。そこで名前が桔平じゃなくても、そこにいたのは間違いなく私が愛していた人であるという絶対的な真実が浮かび上がり、由加利に大粒の涙を溢れさせる。

 誰だって少なからず秘密を隠し持ち、どんなに親しくても100%は理解し合えない。
でも、誰かを愛するには、ほんの僅かな真実だけで十分なのかも知れない。

ストーリー

食品メーカーに勤務している由加利(長澤まさみ)は、研究医の恋人・桔平(高橋一生)と5年に渡って同棲している。
ある日、桔平がくも膜下出血で倒れて寝たきりになってしまう。そこで由加利は彼の免許証が偽造されたもので、名前も職業もすべてウソだったことに気付く。
桔平がどこの誰なのか、私立探偵・柏原(吉田鋼太郎)とその助手・木村(DAIGO)に調査を依頼する。やがて桔平が書き溜めていた未完成の小説が見つかり、由加利は手がかりを探すために小説の舞台である瀬戸内海へと向かう――。

1月20日(土)、全国全国東宝系にてロードショー

監督・脚本:中江和仁
キャスト:長澤まさみ、高橋一生、DAIGO、川栄李奈、黒木瞳、吉田鋼太郎
配給:東宝
2018年/日本映画/118分
URL:「嘘を愛する女」公式サイト

Text/たけうちんぐ

次回は<9年間で9回死にかけた少年の、知られざる驚愕の真実とは『ルイの9番目の人生』>です。
海辺の崖から転落した少年・ルイは昏睡状態に陥ってしまう。何度も死にかけた彼の運命を、小児神経科医・パスカルが追うことで思いもよらない真実に直面する——。イギリス人作家リズ・ジェンセンによる同名ミステリー小説を映画化。

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たけうちんぐ
ライター/映像作家
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