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  • 2017.12.14

素敵なおじさまとイケメンが共闘する天国『キングスマン:ゴールデン・サークル』

スパイ機関「キングスマン」が麻薬組織「ゴールデン・サークル」のミサイル攻撃によって壊滅される。エージェント・エグジーは仲間の仇を取りに、そして世界から平和を取り戻すためにアメリカへと向かう——。世界中で大ヒットした『キングスマン』の続編。

劇中画像
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

「マナーが人を作る」――ストリートあがりの生意気な青年・エグジーが、エースエージェント・ハリーに品格を正されて、一人前のエレガントなスパイに成長していく『キングスマン』から約2年。

 前作以上の爆アゲのテンションで鬼畜度がさらに増し、そして最大の持ち味といえるセンスに溢れた遊び心満載のアクションが今回も健在だ。
舞台をイギリスから全世界へと拡げ、新年早々派手にブチかましてくれる。

『キック・アス』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』など規格外のアクション映画を世に放つマシュー・ヴォーン監督とともに、タロン・エガートン、マーク・ストロングもキングスマンのメンバーとして続投。
前作で衝撃的な死を迎えたハリー演じるコリン・ファースも再び登場し、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、チャニング・テイタム、ジェフ・ブリッジスといった一流のオスカー俳優らが名を連ねる。
さらに、ミュージシャンのエルトン・ジョンが本人役で出演し、「エルトン・ジョンの無駄遣い(褒めてる)」と呼ぶべき、トラウマ級の強烈な印象を叩き付ける。


素敵なおじさまとイケメンが共闘する天国

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© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 悩みを抱えている人や、もやもやとした思いを引きずっている人は、今すぐ本作に触れてほしい。少なくとも141分間だけは映像の中に引き込まれ、その楽しさに現実世界の鬱屈を一瞬たりとも思い出せないだろうから。

 ワンカットに見せかける360度回転のアクションシーンはグンとアップデートされ、マシュー・ヴォーン監督お得意のブリットポップからカントリーまで幅広いジャンルを網羅した楽曲センスが光る。既視感やマンネリ感をブチ壊し、“続編は一作目を超えられない”というジンクスを完全に裏切っている。

 数々の秘密兵器やアメコミ的世界観から、中二男子御用達の作品と思われがちだが、くすぐるのは決して男心だけではない。
ハリーとエグジーの腐女子人気は世界レベルで拡がっている。背広で黒縁メガネ同士の師弟関係は二次元でいまだかつて前例がなく、それがまさか三次元で描かれるなんて。という視点でも『キングスマン』は需要が限りなく、尊い存在なのだ。
丸坊主でタンクトップの頭悪そうなムキムキ野郎ではなく、長身で紳士的な素敵なおじさまとイケメンが手を合わせて戦うという天国は、他では絶対に味わえない。

人を愛する者だけが“正義”を名乗れる

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© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

『キングスマン』シリーズの悪役はどこか共感を呼び、確固たる美学を持って人類を脅かそうとする。
前作のヴァレンタインは地球環境への負担を軽減させるため、彼なりの正義感を持って世界の人口を減らそうと目論んだ。
本作のポピーの陰謀もまた、それは良いことなのか悪いことなのか、様々な議論を呼びそうな意思で世界を遠隔操作しようとする。

 端的に言うと「麻薬をやってる奴は全員死ね」というのがポピーの目的だ。麻薬に手を染めた人間だけが死の恐怖に苛まれる。現代を憂うかのように1950年代仕様の隠れ屋兼テーマパークにひきこもり、古き良きアメリカのノスタルジーに浸り切っている。
しかし、人は過ちを犯すもの。法に触れたからといって命を奪うなんて言語道断である。

 スパイ機関「キングスマン」の掟として、恋人や家族を作ってはならない。だが、エグジーは掟を破って大切な人のために戦う。人を愛する者だけが“正義”を名乗れることを、人として持つべき品格を、今回はハリーではなくエグジーが教えてくれる。
前作はハリーが首尾一貫エレガントな品格を見せていたが、今回はハリーの成長する様を楽しむことができる。ドジで天然な姿も伺えて、コリン・ファースに初めて“萌え”を感じる人続出に違いない。

 一筋縄ではいかないキャラクター造形が、単なるヒーローアクション映画にさせはしない。
イギリス映画ならではのアイロニカルなアメリカ描写や、毒々しいジョークの数々が観る者を惹きつけ、終始ニヤニヤが止まらないだろう。

ストーリー

 スパイ機関「キングスマン」が、麻薬組織「ゴールデン・サークル」のミサイル攻撃によって壊滅される。
一流のエージェントに成長したエグジー(タロン・エガートン)と教官兼メカ担当のマーリン(マーク・ストロング)だけが生き残り、敵を追うために同盟を結ぶスパイ機関「ステイツマン」の協力を得ようと二人はアメリカに飛ぶ。
そこで、1年前に死んだはずのハリー(コリン・ファース)とまさかの再会を果たす――。


2018年1月5日(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

監督・脚本:マシュー・ヴォーン
キャスト:コリン・ファース ジュリアン・ムーア タロン・エガ―トン マーク・ストロング ハル・ベリー エルトン・ジョン  チャニング・テイタム ジェフ・ブリッジス
配給:20世紀FOX映画
原題:Kingsman: The Golden Circle/イギリス映画/141分
URL:『キングスマン:ゴールデン・サークル』公式サイト

前売り券

Text/たけうちんぐ

次回は<愛する人の本当の姿なんてわからない。長澤まさみ×高橋一生『嘘を愛する女』>です。
キャリアウーマンの由加利は、5年間同棲している恋人・桔平がくも膜下出血で倒れたことをきっかけに、彼の名前も職業もすべてウソであることに気付く——。長澤まさみ×高橋一生で描く“推理”的ラブサスペンス。

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たけうちんぐ
ライター/映像作家
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