不倫をするのは普通のいい子が多い。「期待値の低い恋」のメリットとは

既婚上司と不倫をする普通のかわいい子の画像by Anastasiya Lobanovskaya

知り合いのカップルが別れたのは、去年のちょうどこの時期だった。
彼女はわたしの学生時代の後輩で、男の方は彼女の職場の上司にあたる。彼は奥さんと子供のいる人だった。そう、不倫である。

数年に及ぶ不倫期間中、彼女は何度か別れ話を持ちかけている。けれど、その度にはぐらかされて、付き合いはずるずると続いていた。他人の「やめときな、他にいい人いるよ」なんてありきたりな言葉が響くわけもなく、彼女は曖昧な笑みを浮かべるだけだった。

不倫をしている女と言うと、ドラマや映画ではやたらと好戦的だったり、色気で男を狂わす悪女みたいに描かれていることも多い。けれど、わたしの周りで実際既婚者と付き合っているのは、本当に普通の女の子だ。普通に可愛くて、普通に性格も良いあの子が、普通に罪悪感を持ちながら、既婚者の『彼女』をやっている。

いい子がハマる不倫のワナ

わたしは不倫をしたことがない。社会的ななんちゃらとか、倫理とかを一旦とっぱらったとしても、たぶんこの先もしないと思う。理由は単純に面倒だからだ。イベントごとにはまず会えない。長期休暇も基本的には家族の時間。万が一相手が離婚したとしても、慰謝料や養育費の問題が絡み……どんなに相手が魅力的でも、そういう条件に思いを馳せて「ちっ、既婚者か」で終わりである。けれど、既婚男性の『彼女』たちは、そういう状況の中でも真面目に彼との未来を望んでいたりする。

不倫をしていた後輩・Mちゃんを、何度か合コンに誘ったことがある。彼氏(?)が家族と過ごす週末に予定が空きがちだったのもあるし、他の男性に目を向ければ、案外あっさり不倫を終わらせられるのではと思ったのもある。でも、毎回やんわり断られた。理由は「彼に悪いから」である。「せやかて工藤、あいつ既婚者やん……?」と思ったが、何を言っても無駄だった。一度だけ、コンパの誘いが別れ話(数カ月ぶりN度目)のタイミングにうまく合致したようで、参加の返事をもらった。ただそれも、直前の仲直りによりドタキャンとなってしまった。

年に数回の土日のデート、前倒しでもらうクリスマスプレゼント。そういうものを切なげに、けれど嬉しそうに語る彼女を前に、「いや、独身の男と付き合えば毎週土日にデートできるし、クリスマス当日も会えるよ」とは言えなかった。