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  • 2017.09.14

結婚したら女はモテる…モテ市場から退場した彼女の独白

「既婚者はモテる」と言いますが、結婚後に異性を惹きつける魅力が増すのはどうしてでしょうか。強制的に「モテ市場」に並ばされる独身者と、拒絶される恐怖から解放された既婚者の違い。既婚者になることの自由とは。白井瑶さんが既婚者の「モテ」について解明します。

「結婚前よりモテるよ」の謎

自然の中で万歳する女
by Pixabay

「結婚して良かったこと? モテるようになったことかな。」

 冗談とも本気ともとれる笑顔でそう言ったのは、高校時代の友人だった。
結婚2年目、子供なし。独身時代はいつでも5センチ以上のヒールを履き、髪も欠かさず巻いていた彼女のその日の装いは、ジーンズにスニーカーというラフなもの。それでも彼女の「今、モテる」が嘘ではないことは、その場にいた全員が納得していた。

 彼女に限らず、結婚してからの方がモテる、と言う既婚者は多い。それまで身なりにあまり気を使わなかった男性が、奥さんの手腕で健康的に痩せたり、髪型や持ち物が変わって垢抜ける例がわかりやすいだろうか。
余談だが、そういうタイプの男性は2種類に分かれるように思う。愛妻家か浮気者だ。後者の中でも特に、若い頃から遊び慣れていないタイプは悪質だ。駆け引きや引き際が下手くそなため、周囲を傷つける場合が多いように思う。

 さて、外見的な魅力が増すことは、言うまでもなく恋愛に有利だ。しかし女性の場合、結婚後に見違えるように華やかさが増すケースは稀である。それでも異性を惹きつける魅力が増すのはどうしてなのだろう。

モテ市場から退場する、たったひとつの方法

 現代、「モテ」が社会の必修科目になっている気がする。本人がモテたいかどうかに関係なく、わたしたちは強制的にモテの市場に並ばされてしまう。そして、年齢・容姿・年収などを永遠に比較され続ける。

 あらゆることには向き不向きがある。足が遅い人、絵が下手な人が存在するのと同じように、モテない人も当然いる。小学生の頃ならともかく、大人になっても足が遅いことを気にする人は少ない。
けれど、「モテない」ことは圧倒的にコンプレックスになりやすい。なぜならそういう市場に立たされているからだ。特に女性への圧力は顕著だ。雑誌に並ぶ、モテコーデ・愛されメイク・好感度(5・7・5)。「モテなければ女性に非ず」とも言いたげだ。
そんなモテ市場から退場する方法はひとつしかない。そう、結婚である。

「既婚者だから」バリア

 モテることは愛されること、愛されることは受け入れられること。受け入れられることは、即ち拒絶されないことだ
拒絶されないよう、相手の様子を伺いながら距離を縮めていくのが恋愛だが、それはとても難しいし疲れる。だから自分に好意を寄せてくれる人の手を取れたらいいけれど、常に待ちの姿勢でいられるのは、一部のモテ上位者だけだ。その中に好みの相手がいるとも限らない。やみくもに多数を求めるのではなく、望む相手に愛されたければ、大抵の人は自分から踏み出さねばならないのだ。

 とはいえ、一気に距離をつめれば拒絶される確率は高くなり、モタモタしていればチャンスを逃す。かといって、「君はわたしを受け入れてくれる……よね? 絶対絶対傷つけない……よね? じゃあちょっとずつ近づいてあげるから、君から手を出してくれても……いいよ?」なんてか弱きお姫様気分で接していたら、来る者だって引いてしまう。
自分を正しく見積もることは、ある意味、プライドとの戦いだと思う。勝手にモテるならそれで良い。自分からアタックして、相手に受け入れられるなら十分満足できるだろう。でも、玉砕するくらいなら…と何もしないでいる人も多いと思う。自分に見積もったほどの魅力がなかったと思い知らされるのは、かなりしんどいことだから。

 結婚してモテ市場から抜けると、モテないことが許容される。誰かの恋愛対象に自分が入っていないことも、魅力や容姿や収入の不足ではなく「既婚者だから」で説明がつく。
独身の頃の「ごめんなさい」は「あなたに魅力を感じません」と同義であり、いちいち傷つくことになるが、既婚者への「ごめんなさい」は「既婚者だから」に都合よく変換できる。つまり、数撃ちゃあたる鉄砲を撃ちまくることが可能になる。それに、配偶者以外の恋愛対象になる必要も本来ないから、「君はわたしを受け入れてくれる……よね?」なんてチラッ、チラッと気に障るような視線を送ってしまう焦りも消える。モテを阻害するキモさが軽減されるのだ。

既婚者になることの本当の自由

 既婚者の余裕の正体は、“誰かから一生モノのパートナーに選ばれた”という印と自信なのだと思う。「結婚してからモテるよ」と言った彼女は楽しそうで、言い寄られるのを楽しみながらも適当に受け流している。

 独身時代の彼女には上記のキモさはなかったが、本当に好きで着ている場合を除いて、いかにも「モテ系」を意識したファッションは着ている方もけっこうキツかったりもする。モテなかった時に言い訳のできない、かなり攻めたファッションだから。
そういうものから解放され、本来のファッションに身を包んだ彼女の余裕と軽やかな笑顔は、同性の目にも確かに魅力的に映った。

 独身は自由だと言われるし、モテ市場もたしかに楽しいけれど、窮屈で面倒くさいことの方が多い。退場した印の薬指の指輪を見ながら、既婚者になることの自由が少しだけ羨ましかった。

Text/白井瑶

次回は<もし彼がハイスペでも、私は今「中途半端」なキャリアを手放せない>です。
結婚したら寿退社して専業主婦になる!そんなロールモデルが機能しなくなった現在、でもキャリアを高めるために”男並み”に働く気力もない。ハンパに積み上げたアラサーとしてのキャリアをぽいっと捨てられるほどの愛は、はたして今後叶うのでしょうか?

ライタープロフィール

白井瑶
ゆとりのアラサーOL。
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