• love
  • 2017.11.07

「私は傷ついたことがない」それでも保毛尾田保毛男をテレビに出してはいけない

同性愛男性を侮蔑する言葉として使われる「ホモ」、「ホモ」をさらに小馬鹿にする保毛尾田保毛男の存在。あらためての復活にネットは火の海となりましたが、実際にホモとして侮蔑されることもあったニクヨさんの意見は「私は傷ついていない、でも…」

肉乃小路ニクヨのニューレディー入門

 今更ながら保毛尾田保毛男さんの騒動について
私なりにまとめておきます。

 保毛尾田保毛男というキャラクターについて、
私が責任者だったら現在の時点では電波に流しませんでした。

 民放のテレビ局というのは、最近はコンテンツ販売や
他のビジネスにも力を入れていますが、メインの収入は広告収入です。
テレビの広告主は大企業です。テレビのCM枠は高いですから、
大企業でないとゴールデンタイムに広告を出稿できません。
大企業は当然外国でも企業活動をしています。
特に欧米では購買力もあるので、大きなビジネスをしています。

 欧米の国々は高い人権意識を持っています。
そういった国々でビジネスを行うには企業もそこに配慮を
しなければなりません。特にLGBTはキリスト教の教義との対峙もあり、
活動家が相当闘って勝ち得た人権です。
企業もそれなりに配慮して繊細に向き合っています。
欧米でビジネスをする日本企業も同様の配慮を求められています。

 そこに、一般的に男性同性愛者の蔑称とされる「ホモ」をもじった名前の
男性同性愛者をカリカチュア(誇張)したキャラクターとして番組に出すなら、
内容はともかく、広告主が難色を示すということが容易に想像出来ます。
良くも悪くも世界は繋がってしまっているのです。
どのような番組に広告出稿をするのかは目に見えない企業のブランド価値に
影響します。そうすると問題が起こることは必至だったのです。

 だから、私が責任者だったら
問題があっても出す意味があるという強い何かが無い限り、
保毛尾田保毛男は出さなかったと思います。
実際に内容を見ても30周年で懐かしいキャラクターを再登場させた
ということ以外に強い拘りはあまり感じませんでした。

誇張や落差を笑える世界はどこに

 カリカチュア(誇張)した毒を用いた笑いについて、
他の「デブ・チビ・ハゲ・バカ・貧乏」は笑いになっているのに、
どうして?という問題もありますが、それも早晩自粛されるでしょう。
それはネット時代になっても強大な広告力を持つ地上波テレビの宿命です。

 民放テレビ局は許認可事業であり、誰もが参入できるビジネスではありません。
そこには公益性や公共性が求められます。さらに広告主である企業も多国籍化や
コンプライアンスの厳格化を進めていきます。
企業統治の観点からもハラスメントと誤解されるものは
ますます電波に流し難くなるでしょう。
なので過激な内容のコンテンツや差別的表現と誤解されるものは
ペイチャンネル(視聴料を払って観るテレビ)や
ネットメディアなどに移っていくだろうと思います。これが私の考える時代の流れです。

 

Nobody is right.

 ただここまで書いて淋しいのは
私がとんねるずさんが大好きで、多感な頃にとても影響を受けて、
二人が視聴者と一緒に作り出す共犯関係のような笑いがたまらなく好きだった
昭和の少年だったからです。

深夜に流れていたオールナイトニッポンを聴くくらいとんねるずさんが好きでした。
保毛尾田保毛男も私自身はそれで苦しんだ記憶が無く、
当時観て一緒に笑っていた記憶しかないからなんでしょう。

 このくらいの毒はむしろ励みや笑いに転化できるくらいのガッツを持って生きてきましたが、
それは私が強かったからで、傷ついた人も沢山いたと言われたら何も言えないという現状もあります。
確かに保毛尾田保毛男が出てきた時、私はそれを笑いに変えたり、
何くそと思ったりできる年齢だったけど、
それができない小さな子供も観ていたのは確かです。

 時代が変わるのは仕方ないし、メディアと視聴者の関係もそれに合わせて変わります。
だからと言って面白いことがこの世から無くなることはありません。
街に出れば規制無しの情報が飛び交っています。
だからこれから私はむしろライブや社交場が大切になってくるように思います。
私がお店を大切にしているのはそれも一つの理由です。

Text/肉乃小路ニクヨ

次回は <完璧でない私という自覚が私を育てる。急がないで人生を変えるやり方>です。
誰かに傷つけられたとき、モラルに反するような行為を目にしてしまったとき。糾弾したい気持ちに駆られることもありますが、そんなときこそ自分を鑑みてみませんか?誰のことも傷つけたことがない人はいません。厳しく責めすぎるのをやめるために、自覚を目指しましょう。

ライタープロフィール

肉乃小路ニクヨ
東京の片隅でひっそり生き続けるちょっぴりしょっぱくてサワーなニューレディー。オーバー40歳、崖っぷち女装
今月の特集

AMのこぼれ話