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  • 2017.11.14

完璧でない私という自覚が私を育てる。急がないで人生を変えるやり方

誰かに傷つけられたとき、モラルに反するような行為を目にしてしまったとき。糾弾したい気持ちに駆られることもありますが、そんなときこそ自分を鑑みてみませんか?誰のことも傷つけたことがない人はいません。厳しく責めすぎるのをやめるために、自覚を目指しましょう。

肉乃小路ニクヨのニューレディー入門

 先週、私は保毛尾田さん騒動について
流すのは無しだったという見解を出しました。
もちろん、私も世の中のリアクションをきっちり見てきました。
周囲の8割方の意見がこの件については別に良いのではないかというものでした。

 正直なところ、意外でした。
目くじらを立てて怒ることでは無いとは思いますが、
バラエティー番組として地上波の電波に流れるのは良くないという判断を
もっと多くの人がするのかと思っていました。
考えてみたら私は長い間、外国資本の会社で働いていていたので、
いつの間にかハラスメントに敏感な女装になっていたのかもしれません。

 でも今では良い子ぶった立場でモノを言っている私も思い返せば
過去に酷い言動をしていたことを思い出しました。人を傷つけたり、傷つきながら、配慮を覚えるようになったのです。

京都ペルー土下座事件

 今から20年ほど前のことですが、私は京都のとあるクラブで行われていた
HIVの予防啓発のイベントで、何故か舞台に上げられてトークをすることになりました。
その時、私は頭が空っぽの若者だったので、
イベントの内容も趣旨もよくわからず、
何を話していいかさっぱりわかりませんでした。
考えの浅かった私は女装をしていたので、ただ面白いことを言えばいいと思い、
巻き舌が得意だったのでペルー人ダンサーのキャラで
舞台上で話を始めました。

 HIVの予防啓発のイベントなので、当然SEXの話になります。
私はペルー人ダンサーキャラのまま、
「ワタシペルダカラ、SEXスキ」
「ワタシダンサーダカラ、SEXスゴイ」
と言ってしまったのです。今思えば凄い偏見と差別的発言です。
ヒネリもあまり効いてません。
でも当時の無知な私はこれがウケるはずだと思っていました。
周りの友達の間では凄くウケが良かったからです。  HIV予防啓発のイベントの会場は京都で外国の方が沢山いらっしゃいました。
中にはペルーからいらっしゃっていた方もいたようです。
また会場がクラブでしたからダンサーの方も沢山いました。
会場は笑うどころか、シーンと静まりかえりました。
SEXについて真面目に率直に話す場所で、私はふざけたあげく
当事者が大勢いる中で差別的発言をしてしまったのです。

 そして私はMCをしていた京都の先輩ドラァグクイーンに
「ペルー人でもSEXが嫌いな人もいます。ダンサーでもSEXが苦手な人もいます。
その人達に謝りなさい。」
と舞台上で叱られ、土下座をしたことがあります。
これは「京都ペルー土下座事件」として一部の女装マニアの方々に
未だに語り継がれています。

完全でない自覚が成長と寛容につながる

 本当に私は酷い人間です。
叱られながら、頭を下げながら、配慮を覚えていきましたが
完全には程遠いです。でも完全には程遠いという自覚を持って生きています。
一番問題なのは自分のことを棚に上げて、人の間違いを糾弾したり、
責め立てたりすることです。そして自分にも誤りがあることを認めないことです。

 今回の件でフジテレビ側からの謝罪表明のスピードは素早かったと思います。
これは本当に素晴らしいことだと思うのですが、あまりそこは評価されていません。
人間がやっていることだから間違いや失敗は当たり前だと思うのですが、
素早い対応は失敗のダメージを小さくします。私も見習いたいなと思いました。

 後は指摘する側も鬼の首を取ったような物言いをすることなく、
やんわり粘り強くにこやかに対応できれば良いなと思います。
いつだって物事が変わっていくのには時間がかかります。
時間をかけないで性急に変わったものは、性急にもとに戻ったりします。
私は革命という言葉が嫌いです。
毎日考えながら暮らして、気がついたら変わっていた。
それが私の理想です。

これは人生や対人関係にも同じことが言えるのではないかと思います。

Text/肉乃小路ニクヨ

ライタープロフィール

肉乃小路ニクヨ
東京の片隅でひっそり生き続けるちょっぴりしょっぱくてサワーなニューレディー。オーバー40歳、崖っぷち女装
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