「VERY妻」としてだけでは生きていけない

ではなぜ、VERY妻というコンセプトを雑誌『VERY』そのものが突き放したのでしょうか。それは「キラキラ専業主婦」と日常的に輝き続ける限界に読者も気づいてしまったからです。

独身でいる間は、10人彼氏候補をキープしても問題ありません。月曜日は官僚君、火曜は外銀君、水曜はコンサル君……とラインナップを作って「もっと高みへ、もっと輝ける場所へ!」とイカロスの翼よろしく光へ向かって飛び立てます。

しかし特定のパートナーを定めるということは「相手の変わらなさ」を受け入れるということでもあります。夫はwindowsみたいにすぐアップグレードしません。明日からムキムキになったり、2週間に1度も出世したりはできません。子供は比較的早く変化を見せてくれますが、その中にはイヤイヤ期やインフルエンザなど、楽しくない部分も混ざっています。

ハイスペに求められることで輝く承認欲求は、相手が1人だと成り立ちません。だからVERY妻として「ハイスペに求められる自分」を望み続けるならば、変化のない夫を責め続けるか、別の相手と不倫を繰り返すこととなります。

良妻賢母を市場価値としてきたVERY妻のはずなのに、最後はその道を外れないと幸せを感じられなくなるのです。これがVERY妻として承認欲求を満たしても最後は行き詰ってしまうしくみです。

自分が輝く以上の快感はない

こうして「VERY妻となって夫のもとで輝きたい」と思っている女性が行き詰まっても、息を吹き返すときがあります。それは自分で働き始めたときです。

子供の手がかからなくなって少し働いたとき、ボランティアで頑張りを認められたとき、家事の合間に作ったアクセサリーが売れたとき。1度VERY妻の虚像に苦しめられた女性も、そこで気づきます。「旦那さんすごいですね」と言われるよりも、自分自身が認められ、褒められる快感には遠く及ばないことを。

夫の収入や立場を支えに輝くということは、自分の実力に自信がない裏返しでもあります。しかしぶっちゃけた話、夫の出世と自分の出世、どちらの方が嬉しいでしょうか? VERY妻タイプの女性はもともと向上心が強い。アルテイシアさん×ぱぷりこさんの対談にもある通り、自らが太陽となって輝くほうが、より承認欲求が満たされるのです。

あなたのそばにVERY妻として行き詰まっている友達がいるならば、必要なのは慰めよりも自力で動くスキルなのかもしれません。

☆次回は誰にでもありがちな初対面でのミスを減らす「承認欲求を活かすモテ術、殺すモテ術」をお伝えします。

Text/トイアンナ