怒るでもなく、守るでもなく……痴漢への夫の意外な対応に救われた

笑って怒りが溶けていくカップルの画像 Priscilla Du Preez

子連れでの外出は大変なことばかりですが、私の場合、一人で出かけるのと比べて、ひとつだけいいことがありました。それは痴漢に遭わなくなったことです。子連れでの移動中、わたしは一度も痴漢に遭遇したことはありません。

もちろん、妊娠・出産したタイミングで40代になったことも、産後太りがいまいち解消できていないことも、関係しているかもしれません。けれども、「子連れ」であることで、痴漢する男性たちの視界に入らなくなったのではないかと推測しています。ただし、抵抗されにくい子連れを狙う卑怯すぎるケース(もともと痴漢は卑怯ですが……)も報道されているので、あくまでもわたしの話なのですが。

男は痴漢への怒りを理解できないのか?

さて、皆さまは痴漢に遭ったとき、警察、友人、両親……そのことを誰に話しますか。

過去のわたしは、誰よりも恋人に話したいと感じました。痴漢という身勝手な犯罪の被害者になったわたしと、一緒になって怒ってくれるものだと思っていたからです。けれども、「痴漢に遭っても私のせい?彼氏の言いなりになっていた日々」に書いた通り、恋人であっても同調してくれるわけではなかったのです。

しかし、悲しいかな、この彼だけが特別に酷かったわけではありません。

例えばフェティッシュ系のパーティーで「すれ違いざまにお尻を触られた!」と怒ると、男に「Tバックでうろついているからでしょ」と諫められたり、「手に酒瓶なんて下げてるから悪い」と反省を促されたりするのは、とてもよくあることでした。自称ドSの元彼は「感じたんじゃないの?」と茶化してくるし、嫉妬深い元彼パート2は「なんで触られてるんだよ!」とキレて無茶なことを言う。

痴漢の話を恋人にすると、胸糞が悪くなるばかりなので、いつしかしなくなりました。ほとんどの男性は、女性が痴漢に抱いている怒りを理解することはできないのだろうと、わたしも諦めてしまったのです。

そんな折、ある事件をきっかけに、痴漢に対する夫の態度を知ることになりました。