取り戻したい自分とは

一見不思議なことに、恋人の口癖は「君を尊敬している」でした。わたしの両親に「この子と、どうして結婚しようと思ったんですか?」と問われた時も「尊敬できるからです」と答えていました。

でも、それはおかしなことではありません。なぜならわたしは、6年の間に、すっかり「彼に都合のいいわたし」である癖がついていたからです。彼が尊敬していたのは、「彼に都合のいいわたし」だった。

その「彼に都合のいいわたし」は、わたしにとっては窮屈だったけれども、恋人と付き合い続けるために、そうあることは致し方ないと思っていた。けれど、結婚間際に関係を持った数人のセフレのおかげで世界が開け、自分がいかに尊重してもらえていなかったかに、ハッと気が付いたのでした。

というわけで、恋人と別れたわたしがとりあえずやるべきは、見失っていた自分を取り戻すことだと思いました。「見失っていた自分」とは何かと考えた結果、20代はじめの頃よくイベントを主催していたロフトプラスワンで、企画を打つことを決めました。

復活宣言代わりのイベントタイトルは「成人指定! 世界最強Y(ヤリ)-1グランプリ」。ヤリマンのNo.1を決めようという大会です。

――次週へ続く

Text/大泉りか

次回は<わたしはヤリマンなのか?「Y-1(ヤリワン)グランプリ」を主催して戦った結果>です。
セックス経験人数が多い女性を指す「ヤリマン」という言葉。人からそう呼ばれることに、大泉さんは疑問を感じていました。そこで思いついたイベント「Y-1(ヤリワン)グランプリ」。大泉さんがそこで得たものとは…?