彼は「おしまい」と言いました

 今日の後半は、怨霊度は低いけどちょっとぐっとくる大人のエピソード。

チェックのパジャマさん(東京都)
エピソード:
 一回り年上の会社の先輩。
 私は東京、彼は大阪だったのでたまにしか会えませんでしたが、スーツが似合う素敵な先輩でした。愛妻家なのも安心できました。
 LINEを交換してからは毎日、連絡をとりあうように。
初めてのご飯はまるでデートのよう。最後にはデザートの「一口交換」もして疑似恋愛気分にドキドキしました。帰りの新幹線で届いたLINEには「好きになりすぎないよう頑張ります」のメッセージ。
ある日、彼が出張で東京に。でも、夜中に到着して、次の日の昼には帰らないといけないとのこと。
「夜軽く飲みにいくのでもいいですよ」と誘ったら、
「俺、絶対危ないからダメだ」と返信がありました。
結局、その夜は何もなかったのですが、急遽もともと予定していた関西への帰省を半日早め、次の日の昼に彼と一緒の新幹線に。
新幹線の中で「そういうつもりだったんですよ、ね?」と聞いてみると、あわよくば感はあった、と白状してくれました。
「でも今は、一線は越えずに長く仲良くしていけたらと思ってる」と。
窓の外に富士山が見えて、2人でずっと眺めていました。富士山が見えなくなった時、彼がひとこと。
「おしまい」
もう疑似恋愛のようではないけれど、今も時々ご飯に行く仲良しな関係です。

おしまいと言ったあなたの声響く続けるために線引くわたし(チェックのパジャマ)

 キュンときました。「ルパン三世・カリオストロの城」のラストシーンでルパンがクラリスを抱きしめたくなる衝動をぐっとこらえて別れを告げるときのような、おっさんのやせ我慢の美学ですね。ま、最初から実質的に告白してるようなものなのは素直なんだか計算ずくなんだか、微妙なところですが。

 映画だったらここでかっこよく終わるんでしょうけど、残念ながら人生は映画より間が悪くできていて、延々と続いてしまいます。結局、どちらかの家庭に不和があったりしたときとかにうっかりまた急接近しちゃうんじゃないかなあ。

 聞いたところによると、そんなふうに5年以上お互いに我慢できてたはずの友人の奥さんと結局寝てしまった男がいるとかいないとか。そのインターバルのぶん、いざくっついてしまったら燃え上がったとか燃え上がらなかったとか。

 誰とは言いませんけど、まあでも、不倫はハッピーな出口が一つもない袋小路だから、最後のほうはきつかったよ、やっぱり。

いい夢も終わらなければ悪夢だし目を覚ましますいい恋でした(佐々木あらら)