男があやまんJAPANにドン引きする理由

湯山: そういう意味で私、とんねるずも大好きなんですよ。あの2人、そうは見えないかもしれないけど、もともと関係性の人だという気がすごくするんですね。

二村: いや、その通りだと思います。ビートたけしや松本人志というのは、自分のことを「殿」「兄さん」と呼ばせる家父長的な社会を作っていますが、本質的には自分の中に妄想があるとてもオタク寄りの人なんですよ。
一方で、とんねるずは“もろヤンキー”だから、オタク的妄想ではなく、関係性を大事にするリア充なんです。

湯山: 番組のスタッフをいじったりとか、楽屋ネタも多かったもんね。つまり、関係性の笑い。

二村: 最初から感性が非常に女性的なんだと思います。

湯山: 私がとんねるずとおぎやはぎに一目置いているのは、まさに女性に対するスタンスなんですよ。
あやまんJAPANっているじゃないですか。肩車をして男の顔を股間ではさんだり、とてつもない下品な宴会芸をする女性のパフォーマンス集団。私、大好きなんですけど。

二村: 僕も大好きです。

湯山: 彼女たちが最初に出てきたとき、とんねるずとおぎやはぎは大爆笑で、ウェルカムだったんですよね。
でも、ゴールデンの番組に出たとき、小倉智昭は本当に嫌そうな顔をして、けっこう厳しい言い方をしていた。
女が女であるという擬態をやめて、本能を見せたときに、ほとんどの男はそれを受け入れられないんだよね。

二村: それを両手放しで「おもしろい!」って笑えるとんねるずとおぎやはぎは、「女らしさ」という抑圧をかけて女性を支配しようとしない。自分の中にも女性性があることをわかっているのかもしれませんね。

【第4回へつづく】

Text/福田フクスケ

『快楽上等! 3.11以降を生きる』

湯山玲子
著述家。出版、広告の分野でクリエイティブ・ディレクター、プランナー、プロデューサーとして活動。著作に『ベルばら手帳 マンガの金字塔をオトナ読み!』(マガジンハウス)、『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)など。月一回のペースで、クラシック音楽をクラブ仕様で爆音で聴く「爆クラ」を主宰。
(画像右:『快楽上等! 3.11以降を生きる』/著者:上野千鶴子、湯山玲子/発行:幻冬舎/価格:1,575円)

『恋とセックスで幸せになる秘密』
『すべてはモテるためである』

二村ヒトシ
アダルトビデオ監督。MotheRs・美少年出版社・欲望解放・レズれ!という4つのAVレーベルを主宰するほか、ムーディーズ、エスワンなどからも監督作を発売。また、ソフト・オン・デマンド制作部門であるSODクリエイト社の顧問(若手監督への「エロとは何か」指導を担当)にも就任。
公式サイト:nimurahitoshi.net
twitter:@nimurahitoshi@love_sex_bot
(画像右:『すべてはモテるためである』/著者:二村ヒトシ/発行:イースト・プレス/文庫ぎんが堂/価格:700円)(画像左:『恋とセックスで幸せになる秘密』/著者:二村ヒトシ/発行:イースト・プレス/価格:1,260円)