エロいサービスに繋がる番号に電話をかけ…性に目覚めた小学生時代/中川淳一郎

大人になった現在、エロい男を皆さんも多数目にするようになったと思うが、その原点は小学5~6年生頃にあるのでは、というのが僕の見立てである。この頃から突然男子生徒は性に目覚め、集団でエロいことを求めるようになり、そして情報交換をしていく。そんな昭和の時代の男子小学生について振り返ってみる。エロに関する基本的な考え方は子供の頃と変わりがないため、いくらその男性が大人であろうとも、エロに関しては子供的な感覚を持っていることが分かるかもしれない。

1980~90年代、『11PM』『トゥナイト2』『ギルガメッシュないと』をはじめとしたお色気番組が地上波では普通に流れており、親が早めに寝ている場合は音を消してこれらの番組を見ていた。日中のエロの主役はエロ本である。さすがに買うカネはないため、我々は自転車で10台の隊列を作り、学区外のJR立川駅近くの今はなき「第一デパート」のエロ本コーナーで立ち読みをするのである。今の時代に小学生が10人もエロ本を立ち読みしていたら通報されそうだが、これは若干の背徳感を持つ行為だった。かといって便所へ行ってオナニーをするというわけではない。全員が押し黙って勃起をしているだけなのだ。

さらに、今でも覚えている、03-6xx-xx9xという電話番号がある(当時は9ケタだった)。これは誰かがエロ本で発見した番号で、何やらエロそうなサービスに繋がる番号だった。公衆電話に10円玉を大量に入れ、リーダー格のT君が電話をした。繋がった! それまで「電話なんて余裕だぜ」なんて言っていたT君がどぎまぎしながら「む、娘さんはいらっしゃいますか!」と言う。さらに「む、娘さんです!」と続ける。相手は自動音声で、ただ単にエロ本やエロビデオの購入に繋げるようなものだったと思われるが、T君は、テレフォンセックスの相手がいきなり出てくると思ってしまったのだ。

ここから先が本番となる。我々は学区からさらに遠い立川駅南口へ行き、自転車を疾走させて多摩川へ。目指すは日野橋である。ここにエロ本を取りに行くのである。当時はなぜか橋の下、竹藪、雑木林にエロ本がたくさん落ちていた。多くは風雨と砂でガビガビになっていたが、それでもタダでエロ本が手に入るので我々としては満足だった。ここで各自が好きなものを選び、今度は学校の裏にそれを隠し、その後は放課後にこれらエロ本を読み、性の知識を深めていくのである。各種セックス用語をどれだけ知っているかが我々の中で尊敬される要素だった。何かと「足が速い男の子がモテた」という説が取り沙汰されるが、男の中では「エロ知識が豊富な者が尊敬された」である。