「復縁しない」宣言で得られる自由
冒頭に書いた15歳で別れた元カレとは、そのあとも10年くらい、たまに会っては遠出したり、映画をみたり、カラオケに行ったり、何回かに一回はセックスしたりもした。「かつて付き合っていたけど、今後は絶対に付き合わない」という前提の関係は、相手に「こうなってほしい」などと期待しないし、自分も期待されないぶん、かなり楽だ。実際、私たちは付き合っていたころよりずっと仲良くやれていたと思う。
「わかった、復縁しなくていいから、おれと結婚してよ」と彼が言ってくれたことがある。とっさに「何それ」と笑ったが、たしかに恋人関係と夫婦関係ではまた違うだろうから、そういうのもアリかもなぁと思った。「30歳になって、お互い誰とも結婚してなかったら結婚しよう」などという、ピロートークにすぎないような言葉を、私はうっすら拠り所にして20代を過ごしたが、彼が29歳であっさり別の女の人と結婚したので、ひとりでちょっと泣いた。
生きていくことは、選び続けるということだ。正解なんかないうえに、誰も責任を取ってくれない、自由恋愛のなかで、私たちは常に何かを選択していかなくてはならない。元カレと復縁した方がよかったのか、しなくてよかったのか、今でも分からないし、何を選んだって少しは幸福で、少しは泣いてただろう。
でも、復縁しないと予め決めていたことで、私たちの時間は悩みに吸い取られず、その関係は自由で面白くなったのかなと思う。選択肢を残しておくことだけが自由なのではなく、悩まずに済ませることもまた自由を確保する。
もしヨリを戻したいと思ったら、単に復縁するのではなく、セフレになるとか、趣味友達になるとか、結婚するとか、仕事仲間になるとか、新しい関係を築くほうが面白い。そんなこんなで私は妙な関係の元カレが豊富である。
最初は復縁したいと言ってくれた人も、もう一切そんなこと言ってこないので、それはそれでちょっと寂しいが、付き合うだけが男女の関係ではないのだ。復縁しなくても、いくらでも楽しむ余地はあるから、今後もしも恋人と別れても、復縁しないと宣言すると思う。
Text/雨あがりの少女
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