でも「お互い様」で許せたらいいのに

お互いに忙しいのだから、仕事でも遊びでも買い物でもなんでも予定があることは仕方ない。一言！ たった一言言ってくれさえすれば……！ 私だって納得するし、スケジュールを変更する。怒ったりしない。でも、「今日、この後どうする？」「私は仕事終わったら行けるけど、明日何時になりそう？」「もう着いたよ～今どこにいる？」と尋ねたときに、自分の時間や予定をないがしろにされたと感じるような回答が来るとストレスに感じるし、少しの怒りを覚えるんですよ。やっぱり、自分から尋ねるのと相手に言ってもらうのとだと、感じ方はまったく違う。

でも、本人には絶対に言えないんですよね……怒るのもなんか違う気がするし。こういう些細な怒りをさりげなく別の人に話すと、いつも大抵「そういう人いるけど仕方ないよね～」で終わってしまう。え、それだけ？ 静かに怒り、キーボードを叩いている私の心が狭いだけなんだろうか。

本当は、こういう些細な怒りを「まあ、仕方ないよね」くらいの寛大な心で受け流し、許すべきなんだろうな。私だって、待ち合わせに10分くらい遅れてしまうのはよくあるし、深く考えない発言をして誰かを傷つけてしまっているのもきっとよくある。自分が気づかないだけで、人の怒りや悲しみのきっかけになることなんていくらでもあるのだから、「お互い様だよね」くらいの気持ちで、許せたらいいのに。自分のためにも、相手のためにも。

こんな風に、日常でよく起こるようなちょっとしたことで怒っていると、「普通は」「常識的に考えて」「社会人として」とかいうよくわからない物差しで勝手に測って勝手に怒りだすような、私の大嫌いなタイプの厄介なおばさんになっていってしまうのかもしれない。それだけは、避けたいところではある。

Text／あたそ
初出：2020年9月1日

あたそさんの新刊書籍が発売中！

新刊『孤独も板につきまして』は、大和出版より発売中です。