90年代ヒットメドレーを聴いたら死にたくなりました

女性が物思いに耽る写真 PRORandy Robertson

みなさんは、スズランテープを割いたことはありますか? 私はあります。束にしたスズランテープを、髪の毛用のブラシを使って、夜な夜な「シャー!シャー!」という音を立てながら割いたことが。なぜそんなことをしていたのかというと、中学校の体育祭で踊るダンスの、ポンポンを作るためです。もちろん、もう15年以上も前の話です。

なぜこんな話をしたのかというと、先日あまりにも行き詰まって深夜に魔が差し、「90年代ヒットメドレー」を思わずYouTubeで視聴してしまったから。ということで今回は、おそらくこれを読んでいるアラサー世代のみなさんの90年代――小学生や中学生だった時代について、少し思いを馳せてみてほしいのです。

音楽がもたらす感情の記憶

冒頭の話にもどりましょう。私がなぜ夜な夜なスズランテープを割いてポンポンを作っていた中学生時代を思い出したのかというと、このヒットメドレーのなかに鈴木あみの『BE TOGETHER』が入っていたからです。懐かしさ溢れる他の曲たちに混ざってこの曲が入っていたわけですが、鈴木あみさん及び関係者の方々には申し訳なくも、これを聴いた私はなぜだか非常に気分が落ち込んでしまったのですね。
いったい何があったんだ、なぜこの曲はピンポイントで私を落ち込ませるのだと深夜に頭を抱えていたのですが、午前3時をまわった頃、やっとのことで思い出しました。『BE TOGETHER』は、私の中学校で体育祭のダンスの曲として使われていたのです。

 私はもちろんダンスの振り付けなんて覚えていないし、この曲が中学校の体育祭で使われていたことも、すっかり忘れていました。それなのに、『BE TOGETHER』がもたらすマイナスの記憶――夜な夜なスズランテープを割いてポンポンを作らなければならなかったときのダルさ、運動音痴の私にとっての体育祭の憂鬱、リズムに合わせてポンポンを振りながら踊らなければならなかった屈辱、そういうものだけはしっかり頭が覚えていたようです。音楽というのはすごい。具体的な記憶が頭から消えていても、感情の記憶だけはしっかり残っていたのですね。
『BE TOGETHER』はそういうわけで、15年の時を経た今も、私を憂鬱と絶望の淵へ追いやります。