「辛かったら逃げてもいいんだよ」は本当?仕事で失敗した時によぎる言葉

「辛かったら逃げてもいいんだよ」は本当?仕事で失敗した時によぎる言葉
©️Morgan Sessions

仕事がうまくいかない度にインターネット上で見かけた「辛かったら逃げてもいいんだよ」という言葉が脳裏によぎる。

最近、仕事でそこそこに大きな失敗をしてしまった。私に仕事の能力がないのはもともとわかっていたことで、それでも間違えないように、誰にも迷惑をかけないようにしてきたが、それでも道を踏み外してしまった。

やっぱり私には向いていないのかも。今の仕事について、わかった気になっていただけで全然理解できていなかったのかも。圧倒的な知識不足で、私のポンコツな頭ではどうにもならないのかも。今までは虚勢を張ることでなんとか自分を騙くらかしてきたが、それすらも打ち砕かれて仕事にまつわる何もかもに対して自信が持てなくなっていた。

辛かったら本当に逃げてもいい?

そんなとき、私の頭のなかではいつも誰かが「辛かったら逃げてもいいんだよ」とささやく。そうかもしれないなと一瞬考えて、入社当時から登録し続けている転職サイトを眺めては、今の会社よりも条件のいい会社を探す。それから、「面接確約!」「特別オファー!」みたいなメッセージが来る度に、自分にはまだ他社から声をかけられるくらいの市場価値があるのか……と少しの安心と自信を持ったりしている。結局、転職準備の面倒くささが勝って、私の転職活動はいつもそこで幕を閉じるのだが。仕事で何か失敗をして自信を失う度に、私はいつも同じことを繰り返している気がする。

辛かったら、本当に逃げてもいいんだろうか? 少なくとも、私の場合はそんなことちっとも思わない。むしろ、ここで逃げたら負けだとずっと考えている。真正面から立ち向かって、戦わなければならない瞬間は、一度きりではなく何度だってあるはずだ。どこで、何をしていても、目の前の問題から逃げたらそれは私の敗北になる。そんなことは絶対に許されない。

そりゃ、自殺を考えたり精神を病んだりするくらいならすぐにでも辞めるべきだし、そこまでして今の会社で働き続けたいだなんて思わない。私の代わりなんていくらでもいるし、私だって誰かの代わりにいくらでもなれる。いくらでも誰かの代わりになれるのが、会社員のいいところだと思っている。仕事に関しては、基本的にもっと自分本位で考えるべきだろう。

つい最近も、友達から職場の人間関係や上司からいい評価が得られずに思い悩んでいると相談を受けた。そのときの私は、「自分ひとりではどうにもならないなら、環境を変えてみては?」とか「思い残すことがないのであれば、転職や部署異動を検討してもいいんじゃない?」というアドバイスをしている。

確かに選択肢のひとつとして転職はあるし、本来であればそこまで思いつめるようなことではないはずだ。人に対してはどんな甘い言葉でも言える。そういう意味でも、「辛かったら逃げてもいいんだよ」というささやきが蔓延する。自分のことではないから。人が苦しむ姿が見たくないから。生き方やお金の稼ぎ方はひとつではないし、いくらでも自分で選ぶことができるから。言葉通り逃げたところで、誰も新たな道筋を切り開いてくれるわけでも、責任を取ってくれる訳でもないのだが。