大好きだったお店の忘れじの味「“膳”風ピータン豆腐」

お酒と料理と食べ歩きをこよなく愛する、食ブロガーのツレヅレハナコさん。
彼女が紹介した「桃モッツァレラ(内田真美さんのレシピ)」や「味噌バター白菜鍋(重信初江さんのレシピ)」は、ネットで大きな話題となりました。
そんなハナコさんが、夜遅く帰ってきて一杯やりたいとき、一人でもすぐに作れるとっておきのおつまみと常備菜のレシピを教えてくれる連載です。

ボウル一杯食べられちゃうくらい大好きな味

“膳”風ピータン豆腐 ツレヅレハナコ

これまでの人生で一番通った飲食店を聞かれたら、
今はなき下北沢の「膳」を挙げます(ご存知の方、いるかしら……)。

いわゆる“創作系ダイニングバー”だったのですが、
雇われマスター&シェフだったKさんの料理が本当にすばらしかった。
いんげんとじゃがいものくるみジェノベーゼ、白子のフリットにケッパーソース、
軟骨入りつくねの味噌チーズグラタン、鱧の湯引きのとうもろこしピュレ添え……。
「これほど酒のつまみの趣味が合う人がこの世にいるのか!」というくらい、
彼がつくるものはなんでもおいしかったなあ。

一時期は週に4日とか通ってまして、
サシ飲みから合コン、親の接待まですべて「膳」で開催。
それもこれも、私がKさんの料理を1品でも多く食べたかったから!
もうお店はなくなってしまったけど、今でも忘れられないつまみがたくさんあります。

そんな中でも、ひたすらマネしてつくっていたのが、
この「“膳”風ピータン豆腐」!
切り刻んだピータンに粉チーズにザーサイって……しかもつぶした豆腐に混ぜるって……!
なんだかよくわからないけど、ひとりでボウル一杯食べられるくらい大好きだった。

10年近くも前の味なので、もはや本当のレシピはどうだったかの記憶もあいまい。
でも私の中で、今も宝物のように定番となっているおつまみなのです。