たくさんの選択肢が未来を少し不安にもさせる

私は自分のことを、あまり物に固執しないタイプだと思っていた。ブランド物も欲しいと思わないし、電化製品も最新のものでなくていい。洋服は、できるだけ安くてかわいいものであればいいかな、ってくらい。
しかし、お金があれば話は別だ。欲しいものなんて無限にある。お金は人を変える力を持っているのだと改めて思い知らされる。調子に乗って、今回の昇給分以上のあれこれをカード支払いで買い込んでしまい、今現在は来月の請求に怯えているのだけれど。やっぱり、きれいごとは言わずに、仕事はお金だよな~と改めて実感する。

本当は、来年2020年までに今の仕事をやめようと思っていた。スポーツに一切の興味を持っていない私がオリンピック期間中に東京にいるのはなんだか不便な気がしていて、またどこか、遠くの国をフラフラしようかな、と思っていた。なんとなく、節目のような感じもするし。

もういい年齢の大人ではあるけれど、今の私には色々な選択肢がある。今の会社で定年まで働き続けるかもしれないし、すぐに転職するかもしれない。一度仕事を辞めてフラフラするのもいいし、海外で働いてもみたい。東京以外で働くのはどうだろう。どこか、北の方とか。
ひとつの未来として、結婚するかもしれないし、出産もするかもしれない。自分の生活を楽しくしていくには、想像しうる限りのさまざまな選択肢がある。

できるだけ、色々なことをしてみたい。体力とか、気力が許す限り。
仕事を変えるのも休むのも簡単だ。けど、それと同時に、もっと大人になって40代や50代になったとき、今と変わらないような安月給で働き続けるのは絶対に嫌だな、と思っている自分がいる。
う~ん……となると、給与を上げるのなら、働き盛りである今しかないのでは? 今の会社でできるだけ長く働いて、評価されるような仕事をして、それから昇給して。
「まだ若いから」という理由が通用しなくなるまでに、色々なことができるようにならなくちゃいけないのかもしれない。

そんなことを考えていると、今まで軽かった足取りが重くなり、素早い決断もできなくなってくる。どうしたら私は、10年後も20年後も笑って過ごせるんだろう。
たくさんの選択肢があって、どこにだって進んでいける。でも、どんな未来を選んでも、たまに別の将来を想像して、少しだけ後悔してしまいそうな気がする。

つまりは、お金がたくさんもらえて楽しい仕事がしたい!ってだけなんだけど、大したスキルのない私にそんな仕事ってあるんだろうか。未来がほんの少しだけ、怖い。

Text/あたそ

次回は<え、2ヶ月後にまた行くの?わたしが美容院を大嫌いなわけ>です。
美容院・美容室ってどうやって選べばいいの?美容師さんの技術、立地、値段……基準が分からないし、ヘアサロンはもう行きたくない……。そんなあたそさんが、自分の悩みに向かい合ったコラムです。