昇給した。とまらない物欲と妄想。だけど、未来はやっぱりちょっと怖い

だって、昇給したんだもん!

自分の未来を考え始めるうちに不安になってきた働く女性の画像 Pexels

なんともめでたいことに、昇給を果たした。

前回の評価面談のときも一応昇給したのだけれど、本当にわずかな金額だった。ショックだった。私の今までの時間はなんだったのだと、本気で思った。脳天に稲妻を受けたようにズズンとした衝撃が走って、なんだか気力みたいなものが体中の穴という穴から抜けていく感じ。といいつつ、このときの昇給祝いで体にできたしこりを一か所除去できたりしたけども……。
まあ、それはまた別の話で、それからの半年間はまじめに働きつつも「あれだけ頑張ったのに評価につながらなかったし……」「年収ベースで考えてもできる範囲の仕事はきちんとやっているし、無理に努力しなくてもなあ……」という考えがどこからともなく湧きたってくる。
だって、安月給だし。たまにある、仕事へのやりがいを評価するアンケートも5点中2点をつけていた。だってだって、安月給だし。安い賃金は、こんなにも人のやる気と活力を削いでいくのかと思っていた。

が、今回は違う。相も変わらず安月給ではあるのだけれど、前回と比較をすると、かなり大きな金額が上乗せされた。具体的な金額を提示する部長を目の前にうれしい気持ちを抑え、平然を装う。少しでも緊張がほぐれると、顔まで一緒に緩んでしまいそう。評価のポイントとなった点と今後の方針、現在の職場環境などの話をし、会議室を後にした。

会議室から自分の席まで戻る間、一歩ずつ足を踏み出す度に現実感が帯びてくる。世界はなんて美しいんだろう。なんだか、ありとあらゆるものがきらびやかに見えてくる。すれ違う人全員に、昇給した喜びを伝えたい。空気がきれいになった気がする。私の周りの空気だけ、マイナスイオンが発せられているのかもしれない。働くってなんて素晴らしいことなんだろう。ありがとう! 弊社! という気持ちだった。
それ以上に、今まで金銭的な問題で後回しにしていたことに手を出せるのがうれしかった。これで新しい財布が買えるし、オンライン英会話を始めるきっかけにもなる。新しい化粧品も、下着も欲しい。それからスニーカーも買おうか。物欲は止まらず、妄想は底なしに広がる。でも、いいの。だって昇給したんだもん……!