美しくない体型なんてないけど、痩せている人の「手」が気になって仕方ない

最近、気になってしょうがないことがある。
手だ。手。

一体いつから意識するようになったか忘れたが、インスタでネイル自慢の手の写真を見るたびに、あの手首の筋が気になってしまう。

ココ(1)だ。痩せている人の手首には、ココの部分に一本の筋が浮かび上がるらしい。
私もボールを握ったような指をグッッ!と力を入れ、さらにその手を内側に傾ければなんとかうっすら筋が現れる。しかしそうでもしないと筋は出てこない。軽く手をグッとした程度では筋が脂肪に埋もれて見えてこないのだ。

もっと痩せている人になると、さらに右側のココにも筋ができて射線部分に影ができる。
手の構造、いったいどうなってるのかしらん……どうやら手首周辺にはたくさんの筋が通っているらしい。普段そこは脂肪で隠れているから私の手首には見えないのだが、脂肪が少ないほどその筋が浮かび上がってくるというわけだ。
ピン、と筋肉や骨に吸い付くように皮膚が張っているのだろう。なんだかそっちのほうがかっこよく見える気がして、密かに私は憧れてしまっている。

手首だけではない、次は手の甲だ。

綺麗な人が鏡越しに自撮りをあげていると、最近はもはや顔面も着ている洋服もスルーして、スマホを持っている手にのみ注目してしまう。
どいつもこいつも手の甲に線がある。3本の線が。それがココ(2)だ。
私も指の上げ角度次第では浮き上がらんこともないが、ココ(3)に関してはもうお手上げ。痩せているとココの部分に影ができるのだ。まるでへこんでいるように。

私にもガリガリの時期があった

私にもかつて、ガリガリの時期があった。
5年以上前、私は抗うつ剤の副作用で54kgが45kgまで体重が減っていた。
身長160cmな上に骨太なので身体がカクカクして仕方なかった。会う人会う人に体調を心配されたのが今は懐かしい。
そんな私の手をまず見て、知り合いのライターをやっているおじさんが「ガイコツやん!」と叫んだのだ。
ちょっと身体を動かせば腕には血管の筋もぼこぼこと浮き上がった。いつだったか女友達にも「気持ち悪い!」と気味悪がられた。
人生で初めて細い身体を手に入れたものの、周りからの評判は悪かった。

それから数年が経ち、体重も戻って普通体型になった。今は痩せてた頃の自分がとてつもなく恋しい。
「私だって数年前はここに筋があったのに……」
モデルの自撮りを見るとそんなことをつい思ってしまう。写真と、自分の手とを見比べる。一体あと何キロ落とせばああなるんだろう。
それにしても、ガイコツみたいだと怖がられていた手の甲の骨や手首の筋が、まさか美の象徴になり得る時代が来るとは。価値観というのは目まぐるしく変わるものなのだなぁ。