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  • 2016.09.07

女三代だめんず家系、父親はクズの三冠王!/確信的シングルマザーの選択②

「子どものために離婚しない」よく聞く言葉ですが、本当に子どものためになっているのでしょうか。生活面の不安はあるかもしれませんが、離婚しないデメリットもあるのかもしれません。今回はAM読者の皆さんにも知って欲しい「シングルマザー」のお話です。

 前回に引き続き、37歳の時に「彼氏ナシ、ひとりで子どもを産んで育てよう」と決断した友人のKちゃん(40歳・医者)へインタビュー。

「生きてるのが辛かったから、やりたいことは全部やってみたけど、自分を嫌いなのは治らないし、生きづらさも変わらなくて…それは明らかに父親が原因だった」と語る彼女の人生に迫りました。

女三代だめんず家系

恋愛デスマッチ アルテイシア
©Parker Knight

K:うちは女三代だめんず家系なのよ。母方の祖父も浮気症で、祖母は夫が愛人とデート中にバッタリ遭遇したらしい。

アル:おお、祖母も孫と同じ歴史を!

K:祖父母が離婚した時、母は3歳で「自分は父親がいなくて辛かったから離婚はしない」と決めたらしいんだけど、うちの父は真正のクズだったから、お陰で子ども達はひどい目に遭った。

アル:父親はどんな風にクズだったの?

K:浮気・DV・モラハラ。

アル:おお、三冠王!バースやな。

K:そこでバースが出るのが昭和の関西人やな(笑)。

アル:Kちゃんの父親もお医者さんだよね?

K:そう。社会的な地位はあるけど、家では気に入らないことがあると暴れて、殴るしモノを投げるし。高校時代、私は家を追い出されてるのよ。父親に「出ていけ!」ってワイングラスを投げつけられて、おばあちゃんちに避難して、そこから学校にも通ってた。

アル:そうか、大変だったんだなあ…。

K:父が家にいない時は、母と兄弟と笑ったりしてるけど、帰ったらシーンとなって、みんな部屋に戻るんだよね。父がいつ暴れるかわからないから怖くて。

アル:そんな父親ならいない方がずっとマシだよね。

K:「頼むから早く離婚してくれ!」とずっと思ってたよ。そういう経験をしたから、私は夫はいらないって思ったのかも。

アル:親が離婚した子どもの追跡調査を読んだら、「離婚してほしくなかった」という意見は2割以下で、「離婚してよかった」「離婚は仕方なかった」という意見が多数だったよ。

K:そりゃそうだよね。

アル:だよねえ、両親の不仲を見せつけられる方が地獄だもん。
経済的な事情とかもあるだろうけど、「子どものために離婚しない」というのは、やっぱり親のエゴだと思う。「子どものために我慢してる、犠牲になってる」みたいな状態って、子どもからしたらたまったもんじゃないしさ。口に出さなくても、子どもは「自分のせいかも」と感じるものだし。

K:ほんとたまったもんじゃないよ!私も「弟が大学を卒業したら離婚する」と小学生の時から聞かされて、母親は父親の悪口メッチャ言うしさ。
だから元彼のことをさんざんクズクズ言ったけど(笑)、子どもには絶対言わないと決めてる。

アル:「あなたのお父さんはクズじゃない、立派なカーズ様なのよ」と。

K:カーズ様って誰やねんって話だけど(笑)。

父親が人生に落とした影

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DV(ドメスティック・バイオレンス)――殴らずにはいられない男たち (光文社新書)
著:豊田 正義

K: 母は62歳でようやく離婚して、今は兄も弟も実家に集まるのよ。父がいる時は絶対寄りつかなかったけど。
母は母なりに子どもを愛してくれたけど、やっぱり歪んでたよね。自分が“妻の座”を失いたくないという、世間体やプライドがあったと思う。でも子どもにしたら家の中に暴れる人物がいて、安心できないのが一番イヤやん。

アル:その後の子どもの人生に深刻な影響を与えるしね。

K:私の心に影を落としたのは父親だもん。自尊感情が低すぎるから、クズの方が安心して、マトモな男性と付き合えなかったり。クズの元彼に「おまえはダメな人間だ!」と人格否定されたりとか、精神的なDVも受けたよ。

アル:あかんやんか!

K:あかんねんけど、私には普通だったというか。「自分は男にひどい扱いをされて当然」という感覚があったのも、父親の影響だと思う。

アル:そうか…。ぱぷりこちゃんとの対談でも話したけど「ひどい扱いをされた時、ちゃんと怒れること」が本当に大事だよね。

 私は男に支配的な言動をされると「キサマの睾丸を爆破してやる!」と思うのよ。
それは中学から父親不在だったからかもしれない。支配的でモラハラな父親がいるより、いない方がずっとマシだよね。うちの父もボケナスだったけど、両親が早めに離婚したのは不幸中の幸いだったと思う。

K:アルもお母さんのことで大変だっただろうけど、やっぱり父親との関係が、その後の異性関係に与える影響は大きいよね。

アル:でもさ、父親ってあんまり責任追及されないよね。「子育ては母親の責任」という価値観が根強いと思う。 私は母との関係で苦しんだけど、母は父の被害者だったと思うよ。

K:うちの母も父の被害者だよね。母や祖母の時代は、女が自立して生きていくのはもっと大変だったし。 女三代だめんず家系なのは「父親」という存在の影響が大きいと思う。

アル:女友達のお母さんも、夫の浮気にずっと苦しんでいてさ。それを見て育った彼女は、尋常じゃない嫉妬心に苦しんでいたのよ。
彼氏の携帯が繋がらないと「浮気してるに違いない」と妄想絵巻が広がって「もう別れる!!」とブチ切れて号泣したりとか。
そこで今の旦那さんは「じゃあ結婚しよう」と言ってくれたんだって。

K:おお~!

アル:大抵の男は「お前おかしいんじゃないか」「俺のこと信用してないのか」「こんな面倒くさい女は無理」ってなるでしょ?
でも旦那さんは父親のトラウマのせいだと理解してくれて、彼女の絶対的な味方になってくれたのよ。いま結婚10年目だけど、彼女は「嫉妬深かった自分がウソみたい」と言ってるよ。

こんな幸せが来るとは思わなかった

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K:私もそんなパートナーに出会っていれば、子どもがほしいと思わなかっただろうな。残念ながら、私にはそんな男性をゲットする手腕がなかったから。

アル:手腕(笑)。でもまあ結果的に、愛しい我が子に出会えたわけだし。

K:うん!家で娘とラブラブしてる時が一番幸せ。旦那もいないし姑もいないし、自由!気楽!天国!って。
「1人で子育てして大変でしょう」とか言われるけど、べつに大変と思わないんだよね。

アル:ほえ~!もともと子どもはそんなに好きじゃなかったんでしょ?

K:意外と向いてたのかもね。あと、今までは男の顔色を窺ってビクビクしてたし「これをしたら嫌われるかも、振られるかも」と遠慮してたけど、娘の前では素でいられるから。

アル:それはわかる。私も昔は「素の自分を見せたら男は離れていく」と思って、相手に合わせて偽ってる自分が嫌いだったし、男に振られるたびますます自分を嫌いになっていった。
でも素の自分を愛してくれる夫に出会って「まあ自分にも価値があるんちゃうかな」と思えるようになった。

K:まさしくそれ。私はもともと自分に価値がないと思っていたし、男と別れるたびに無価値感が強くなっていたけど、娘を育てる中で「自分は存在していいんだ」と思えるようになった。

アル:『無条件に愛される実感は、自分たちが子ども時代に得られなかったものだ』という話をしたけど。
恥ずかしながら、私は夫の前では赤ん坊のようにバブバブしてるのよ。Kちゃんは親になって、私は子どもになって、昔できなかった親子関係をやり直しているのかもね。

K:私の場合、今まで何をしてもダメだったのに、娘を産んだことで自分を嫌いなのがなおったから。こんな幸せが自分の人生に来るとは思わなかった。

アル:勇気を出して決断してよかったねえ!あと一発でデキてよかったねえ!

K:ほんとにラッキーだと思う。だから無責任なことは言えないけど、定職についているなら、産みたかったら産んでみるのもアリだと思うよ。産んだら何とかなるから。
私の周りでも「子どもほしいけど相手がいない」って女子がすごく多くて、本当にもったいないな~と。

アル:男性に縁遠かったり恋愛にオクテだったりして、「子どもはほしいけど結婚できない」と悩む子はすごく多いよね。子どもをほしい人が、結婚せずシングルでも産み育てられる世の中になるべきだよ。

K:ほんとにそう思う。種だけもらうなら、べつに通りすがりの人でもいいから。

アル:通りすがり(笑)。

K:「Y染色体をくださいな」と。もしくは精子バンクを95%オフとかにしたらいい。そしたら子どもも増えると思うよ。

アル:95%オフは安すぎるわ、絶対ワケありちゃうかと思うやん。ブックオフでも「なんか変な汁ついてるんちゃうか」って買わないよね(笑)。

―次回は「新しい家族のカタチと女の幸せ」について語ります!

Text/アルテイシア

ライタープロフィール

アルテイシア
作家。

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