江戸時代の3つの恋のおまじない
西川祐信《欠題組物》
「あのひとはわたしのこと、どう思っているのかな?」
「あんなこと言われたけど、それってわたしのこと、好きなの?」
「どうしたら振り向いてくれるのかな?」
好きなひとと両想いになりたい気持ちは今も昔も変わらない。好きなひとができること自体、わたしは尊いことだと思うし、自分の気持ちを相手に伝えることができるひとには賛美を送りたい。
江戸時代にはさまざまな恋にまつわるおまじないがありました。もしかしたら日本人は願を掛けたり、何かに自分の想いを込めることが好きなのかもしれません。
今回は3つの恋や愛にまつわるおまじないをご紹介します。
気になる人に好きになってもらえるおまじない
西川祐信《欠題上方艶本(けつだいかみがたえほん)》
11月12日・正月5日・7月7日の子の時(23時~1時)に北の方角で雄のねずみを捕まえ、腎の臓を取り出し陰干しにし、男なら左の袖、女なら右の袖の内にそれを入れておく。その場限りで出会ったひとにも惚れられるおまじない。
現代でこれを試そうと思ったら、夜中にねずみがいそうな場所に繰り出し、ねずみと補導の恐怖を感じながらひたすら探さねばならない。そもそも腎の臓がどれだかわからないし、自宅のベランダで陰干しするなんてまっぴらごめんである。陰干しするのは大切なランジェリーだけにしておきたい。また他にも、11月の子の日(暦で子にあたる日)にねずみを捕まえて夜の子の時刻にそのきんたまを取り陰干しにして、黄色の絹の袋の中に入れ、着物の肘の部分に縫いつけておくことも有効らしい。
干からびたねずみのきんたまを縫いつけるほどに想いが強いのだから、結果的に惚れられても、それはそのひとの努力では? と冷静に返したくなる内容だが、江戸時代のおまじないに本気になっちゃいけません。あとねずみさんのきんたま捕っちゃだめです。
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