セックスがご無沙汰だった男性の本音

久しぶりのセックスだと、つい忘れがちなことがあります。イカ臭いとまで言いませんが、決して良い匂いとはいえない陰茎を晒したり! フェラチオの際、体勢によってはお尻の穴まで見られたり! さらにそのお尻の穴にはケツ毛がボーボーに生い茂っていたり! そしてイキそうになってから実際にイク瞬間までの理性ゼロな一面も知られることになります。そう、セックスって恥ずかしい自分を開示する行為でもあるのです。

「恥ずかしい自分を開示することもセックスの醍醐味」「むしろセックスってそういうもんでしょ」と思えるのは、セックスが日常になっている……つまり定期的にセックスしている者のみ。セックスが久しぶりの者にとっては、顔面から火が出るほど恥ずかしいのです。

射精の際に「イグゥ……」ってヘンな声を発しちゃったなぁとか。アナルまで舐めてもらえるって事前にわかっていたらケツ毛の処理くらいしていたのに、とか。軽度とはいえ仮性包茎だからイカ臭が漂っていたんだろうなぁとか。恥ずかしいよぅ。穴があったら入りたいよぅ。昨夜までは穴があったら挿れたいと思っていたけど、今は穴があったら入りたいよぅ。

そんな精神状態の真っ只中、LINEが鳴るわけです。送り主は、俺のイカ臭さやボーボーに生い茂ったケツ毛やイク瞬間の理性ゼロモードを知っている女性! もちろん文面では、恥ずかしい諸々には一切触れられていません。むしろ、「昨日はごちそうさま」「楽しかったです」など、明るく健全な内容です。俺のハズい部分全てを知っているにも関わらず、こんなにも明るく健全な文面で接してくれるなんて女神サマですか、貴女は!

そうだ、俺が昨晩セックスした相手は女神サマだったのだ! セックスご無沙汰男性の中では、そのように結論づけられます。そうか女神サマか……、対して俺は単なる人間のオトコ。とてもじゃないけど釣り合わない、それどころか馴れ馴れしく返信するのも失礼にあたる、控えよう! これぞ、セックスした後に連絡しても返事が来ない理由なのです

Text/菊池美佳子

初出:2020/6/8