コンドームの原料はちょっと凶暴な香り
まず工場長さんが案内してくれたのは、コンドーム原料の検査や配合する部署。タンクが並び、アクション映画のワンシーンに使われそうな雰囲気です。
コンドームの原料である天然ゴムを腐らせないようアンモニアを配合しているそう。工場長さん曰く、慣れると大丈夫とのことですが、私も一徹さんもあまりの臭いにクラクラしながらも見学を続けます。
目が痛くなってきた…
口で呼吸してても痛くなるってすごいなあ
苦しさの中で懸命に説明を受けながらも、私は目線をチラチラと聖人(セイント)に向けていた。
聖人(セイント)…一徹さんは多少苦しそうな表情を浮かべながらも、真剣な眼差しでタンクを見つめる。
そうそれ!!!! その瞳に私は何度高みに連れて行かれたか!!!!
? どうしました?
視線が急に私へ向いた。慌てて緩みまくった表情を引き締め、口角を上げる。
さ、最初は!!!! こんな臭いなんだなあと思いまして!!!! びっくりだなあ!!!!!!
あまりにもわざとらしい笑い方にも、一徹さんは愉快そうで、優しい微笑みで返してきた。 序盤だけど、確信した。今日が非常にやばいことを。
コンドームの成形でわかる2人の相性
ガラス越しに見えたのは無数のコンドームの型。よく見れば、精液溜めの部分もしっかりある。
配合し終わった原料をあの型につけ、コンドームの形にしていきます
すごい!!!!!
すごい!!!!!
アイドルデュオかのごとく綺麗にハモり、思わず顔を見合わせる。
恥ずかしさと嬉しさとで反応に困っていると、一徹さんは「僕たちの相性、いいみたいですね」と笑顔を浮かべた。なぜこうもこの方は女子が受けたい言葉を的確に送ってくれるのだろうか。
突起物がついてるコンドームもあるじゃないですか? あれも同じように作るんですか?
そうですよ。それ用の型があるので、ノーマルなものと同じように作ります
この段階から作り方が違うんですね!
1日1,000個以上を調べるピンホール検査
暑さと刺激臭に満ちた部屋を脱出し、私たちは“穴開きの有無”を調べている部屋へと移動。
穴開きの有無には水を用いた機械と手を使い、なんと一日1,000個以上のコンドームを調べるらしい。そのうち、穴開きが見つかるのは1、2本あるかないか。
お客様から穴開きの報告があるのは一年に3、4回ほど。そのコンドームを郵送してもらって、顕微鏡で調べるのだとか。
穴の開き方で成形不良なのか、装着時に傷がついたのかが分かりますね
穴だけで、ですか?!
やはり大抵が傷なんです、特に爪なんかで開けちゃうことが多い
女の子のためにも自分のためにも深爪にするのがベストってわけですね
ふんふんと納得しながら、ちらっと一徹さんの手を見れば、完璧な神の手(ゴッドハンド)だった。
さすがの一言に尽きる。ああ…たまらない…。
ん? どうしました?
(ビクッ)いや~~~日本の技術ってすごいですね~~~あははは~~~~~
お願いします抱いてくださいなんて言えるわけがない。
たしかにすごいですよね。ところでマドカさん、さっきから涙目ですし、顔も赤いじゃないですか
ブヘッ?!
もし体調が悪かったらすぐに教えてくださいね。僕にはちゃんと甘えていいですから
“甘えていいですから”女子ならこのフレーズがどれだけのものかを理解できるはずだ。
“甘えて”と強制するわけではなく、あくまでも意思決定は女性であるというスタンス。
素晴らしいとかを通り越して、神々しい。どうしようもなく神々しい。黄金に輝いているよおおおおおおおおおおお。