マドジャスが10kg痩せて感じた「痩せ型信仰に流されていないかどうか」

ダイエット投稿によって増えたフォロワー

派ながらのパーカーとデニムパンツを着たへそにピアスの空いた女性のウエストの画像 JackThanantorn

 10月末、突如としてTwitterで投稿を始めた #マドジャス2ヶ月でマイナス10kg達成するってよ は、自分でも予想していなかったほどの反響を得た。今まで、どちらかといえば、キャラクターも体型もマスコット寄りだったマドカ・ジャスミンがそんなことをするとなれば、色んな好奇心を擽るのも無理はない。最初に目立ったのは、女性よりも男性からの「痩せる必要ある?!」といった声だった。

 書籍に関する企画だということは伏せていたけれど、全ての投稿がプロモーションを兼ねて行っていたと言えば嘘になる。きついダイエット中、その様子を発信していないと、フラストレーションを発散できなかったからだ。投稿を続けていくと、とある変化が出てきた。女性フォロワー、それもダイエットや美容の情報網に目を張っている層からのフォローが圧倒的に増え始めたのだ。新着フォロワーのアカウントを覗きに行けば、揃いも揃ってbioに“何月までに何kg痩せる”“ダイエット垢”“美容垢”と綴られている。

誹謗中傷から「私も頑張ります!」へ

 本来なら、「意識の高い人たちに認められている!」と喜ぶことなのかもしれないが、私はどちらかというと過去の苦い記憶を真っ先に思い出した。まだフォロワーが数千人だった頃、私はよくこういう人たちに晒され、貶され、嘲笑されてきたからだ。「スタイルが悪い」「よくこんな見た目で堂々としてるな」「デブ」など、どんなことをしようが全部容姿への誹謗中傷に繋がっていた。モデルと私の写真を並べた上でdisる投稿を見つけた時は、何だか笑ってしまった。悲しさよりも、「違うジャンルの人間を同じ枠で見比べてまで悪口を言いたいのか」という疑問のほうが大きかったからだ。

 体重の数値が減る度、比例していくようにどんどん意識の高い女性フォロワーも増えていく。そして、ダイエット投稿に対するリプライやいいね、RTも同じく増えていった。最初は、斜に構えたものが多かったものの、段々と「私も頑張ります!」「メソッドを教えてください!」という声ばかりになっていき、一つ思い浮かんだことがあった。この人たちは、自己投影しているのだ。痩せたい、綺麗になりたいという欲望なり、目標があって、それに関する情報にもとても過敏。ただ、それを最初から持っている芸能人に対して、どこか諦観した思いを抱いている。しかし、私みたいな、言っちゃ悪いが自分たちと同じように持って生まれたものが平凡な人間が変わっていく過程に「自分も…」といった希望、いや野心が湧き起こるのだろう。逆に言えば、体型がみっともないと思う人…過去の私のような人を攻撃するのは、自分を攻撃しているということなのかもしれない。欧米では、プラスサイズモデルみたくふくよかな体型でもいきいきとし、魅力的な人だって沢山いる。けど、その存在を認めてしまったら、自分たちの「今はデブだから不幸なだけ。痩せたら生活が、人生が好転する」という希望を打ち砕くことになってしまう。だから、否定し、攻撃する。もしかすると、これもまた日本人特有の集団心理かもしれない。痩せてみたことでより一層自覚したが、日本は思った以上に痩せ型信仰が根付いている。既製品の服にしろ、メディアに出る人物にしろ、一つ足らずスリムだ。そして、デブは悪だという扱いだ。