理想にピッタリじゃなく、自分を削らなくてピッタリ合う相手
アル: その友達も旦那さんに会うまで迷走していたけど、今では「おせんべいの片割れに出会うと、人は幸せになれるんだね」と言っていますね。
おせんべいの片割れは、理想にピッタリなんじゃなく、自分を削らなくてピッタリ合う相手。そんな相手と暮らして、無理せず幸せな状態だからこそ、愛情を育てられるんだと思う。
AM: 愛情を育てる…そういうのがいいです。結婚してからの方が長いですもんね。
アル: 平均寿命でいうと85歳まで生きるから。だから結婚は、花火じゃなく炭火がオススメ。花火みたいに一瞬で燃え上がる恋って美しいけど、非日常は続かないからこそ非日常なんですよ。
「彼に呼び出されて夜の街を駆けていく」みたいな恋って「生きてる…!」とヒリヒリ実感はするけど、アドレナリン全開の状態が続くと人は死ぬから(笑)。
炭火のように、地味だけどじわじわ燃え続けるのが結婚だと思います。
AM: でも、炭火ってどこで火がつくんでしょう?
友達のまま付き合うキッカケがないままのパターンも多いと思うのですが。
アル: キッカケはわりと自然にやってきますよ。
でも奥手同士の場合とかは、エイヤ!と付き合っちゃうのも大事かも。
年をとると失敗が怖くなるけど、でも本当は付き合ってみなきゃ分からないでしょ?付き合う前は、お互い良いところしか見せないし。ケンカやトラブルが起こった時に、本質が見えるから。
私は両親が超ややこしくて、昔はそのせいで不安定になる事も多かったんです。そして、そういう厄介な問題が起こると、エリートの元彼たちは逃げ腰になっていました。その度にやっぱり傷ついて。
今となっては「どんだけケツのアナルが小せえんだ!軟弱者!」と張り倒したいけど(笑)。
でも、夫はビクともせず逃げなかった。彼は心身ともにタフで、打たれ強いんですよ。そこさえ満たしていれば、貧乏で肩パットだろうが平気だって、付き合って分かったんです。
AM: 分かります!一番辛い時に支えてくれる男、逃げない男と一緒にいたいです。
無償の愛は“物足りないもの”
アル: だから「ときめかないな~。69とか無理」と思っても足切りしちゃダメ(笑)。 しばらく友人関係を続けて、「一緒にいて楽だな」と思ったら、エイヤ!と付き合っちゃいましょう。
それと、相手からトキメキや刺激をもらいたいのって「利己的な恋」なんですよ。それが家族になると「無償の愛」に変わっていく。子どもやペットに対する愛と同じで「この人を幸せにしたい」って感情。おだやかで温かい愛情。
で、無償の愛は物足りないものなんです。
AM: ああ…それを聞いてホッとしました。「物足りなくていいんだ」って。
アル:物足りなさの一部は、女友達に満たしてもらえばいいと思う。
私は夫と外食も旅行も行かないんです。女友達と行く方が楽しいから。夫と美味しい店に行っても、何でも丸飲みするから「もっと味わって食え!」とイラッとする(笑)。
でも夫と動物園とか博物館に行くのは超楽しい。オタクで博識だから。そうやって、適材適所にアウトソーシングすればいいと思う。
<女友達に恵まれすぎていると結婚が遠ざかる>って嘘だから。
それは、男に全てを求めるdemandingな姿勢がダメなだけ。「女友達で満たせるからOK」って考えれば、むしろ最強の武器になる。
個人的には<ピッタリの伴侶がいて、女友達に恵まれている>のが、一番幸せな女の人生だと思います。