彼女をコートの下に隠して…

僕は彼女に「ちょっと待って!」と言い、もう一度見ると、さらに近づいている。しかしそれはホラー的旗ではなく、白いコートを着てその下に赤いセーターか何かを来た男だったのです。ホラーでなくて安心したものの、上半身裸の彼女、下半身露出の僕の姿を見られるわけにはいかない。そこで、僕は彼女に小さくなり、動かないよう伝え、持っていた薄手のコートを僕の下半身に覆いかぶさっている彼女にかけました。

150cmと小さい彼女で良かったです。膝を折り曲げ、頭を丸めると多分90cmぐらいにしかならない。僕は、両腕の上腕を彼女の肩のあたりに置き、スマホを見始めました。あたかもピクニックに来た男が少し寒いため膝掛けのごとくコートを使い、スマホを楽しんでいるかのようにふるまったのです。

ドキドキしながら男が通り過ぎるのを待ちましたが、向こうは特に僕に関心がないようで、こちらを特に見ることもなく、去っていきました。「去っていったよ」と言ったら彼女は「森山君、もうすぐイきそうでしょ? そこまでやったら山を降りて続きはやろうよ」と言う。

さすがにまた人が来るのも怖かったのですが、すでに舌技・口技を披露し始めた彼女の絶品テクには抗えず、そのわずか1分半後に僕は果ててしまったのでした。

――以上、森山氏の話だが、何が「相談があります……」だ! ただ単に自分がいい思いをしたことと、スリリングな時間の告白ではないか!

Text/中川淳一郎