バイトの彼女も勘が鋭かった

当時、僕の家にはアルバイトの若い女性が来ていた。年収が少なかった割には仕事が多く、一週間に一回、会社にバイト代を確保させたうえで仕事を手伝ってもらっていたのである。イベントの台本を書くには人手が必要だったのだ。彼女は毎週土曜日の朝10時に来ていたのだが、大抵の場合、佐藤さんは9時まで僕の家にいた。

10時にバイトの彼女が部屋に入ってくるとニコッと笑い、「いい匂いがしますね。女の人がいたんですか?」と佐藤さんと土曜日の朝まで過ごした第一回目の後に言われた。翌週からも「今週も先週と同じいい匂いがしますね」と言われた。

佐藤さんは自分はバレないようにするものの、僕がその行為をしていたことが完全にバレる証拠を残していった。そして、バイトの彼女も勘が鋭い。結局男は女に勘で勝てないのだと思い知ったのである。

Text/中川淳一郎