リスクを理解できなくなる瞬間
やはり不倫というのは、得る物に対し失う物がデカすぎるし、そのデカさは近年さらにデカくなっている。
そんなハイリスクノーリターンなものに貴重な人生を投資すべきではないというのは、普通ならわかることだ。
しかし、不倫するもそれがわかってないバカというわけではなく、そのリスクは重々承知で、まさか自分が不倫するなんて夢にも思ってなかった人も多いのではないかと思う。
人間誰しも魔がさしたり間違ったりすることはある、車に乗っていれば人を轢く可能性がゼロではないように、結婚している以上不倫をする可能性はゼロではない気がする。
むしろ自分は絶対しないと思っている人間の方が危ない。
不倫のリスクが理解できている時なら絶対しないと言い切ることができるが、それが理解できなくなる瞬間がいつ訪れるかわからないのだ。
例えば私の場合、同人誌即売会に行き、目の前に並ぶ推しのDB(ドスケベブック)を目にした時、まず「値札が見えなくなる」し、仮に見えたとしても「読めない」。
さらに、何冊買えばいくらになり帰りの電車賃のためにいくら残しておかなければならないなどの「計算ができなくなる」。
つまり、人は何かに熱中している時、特に愛欲が絡むと、視界が著しく狭くなり、字も読めない計算もできない、バカになってしまうのだ。
そういう状態の時に不倫のリスクや民法を理解できる自信はない。
そして誰の前にも、そういう視力とIQを下げるDBみたいな人間が現れないとも限らないのである。
バカップルと言うように、不倫でなくても何かに異常に熱を上げている時というのは頭が悪くなりがちでなる。
恋をするのは良いことだが、行動を起こす前に、視力0.0001のIQ2になってないか疑った方がいい。
そう言いたいところだが、何せIQ2なので「疑う」などという高度なことが出来るわけもないのが悩ましい。
Text/カレー沢薫
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