家に対する夫のこだわり

よって家を買った時も、私は「家賃を払うより持ち家を持った方が良い」という、今思えば正しいとも言えない理由でしか家を欲しがっておらず「どんな家に住みたい」というような希望は一切なく、「いくらになるか」ぐらいしか興味がなかった。

よって家を建てる際にこだわりが多かったのは、夫の方である。

私の希望は、自分の仕事部屋を作ることと屋根があること、程度しかなかったが、夫は、車は3台停められるようにしたい、ウッドデッキをつけたい、掘りごたつにしたい、など私に比べれば、夢のマイホームに対し注文が多かった。

これは結果的に良かったと思う。まず私に部屋を与えたのは正解である。

私の部屋は現在我が家の「スラム街」として機能しており、汚す奴がそこを根城にすることにより他の場所があまり汚れないという方式で、治安を守っている。

これが「穴もたず」のフリーランスの汚し屋だったら、もっと家中まんべんなく汚していたと思う。
夫からすれば、他の場所も便所を中心に十分汚しているように見えているかもしれないが「捨てる場所」を作ったことにより被害が最小限に抑えられている、と私は思っている。

ちなみに、夫のこだわりの掘りごたつであるが、その構造上、掘ってあるところにゴミが貯まりやすいという欠点があるのだが、その掃除はもちろん夫がやっている。
ウッドデッキは足を踏み入れさえしないのでわからないが、おそらくそこも掃除もしているのだろう。

これが逆だったら、大変なことである。

家を買う時は金銭感覚がマヒしているので気にならないが、ウッドデッキと掘りごたつをつけたことにより、数十万は余計にかかったはずである。

そんな「こだわりの高価な一品」を手に入れるだけで、満足し、手入れはパートナーに丸投げとなったら、相手のストレスは計り知れない。

家を作る時、後々面倒になるこだわりを自分から言い出さなくて良かった、と心から思っている。

インテリアに限らず、何かにこだわりを見せるときは「このこだわりの責任は俺が持つ」という覚悟でいかなければならないのだ。

カレーなる夫婦生活が書籍化!

夫婦コラムのはずの本連載が、土方歳三への愛を綴った廃人日記として書籍化されました。

愛に生き愛に死ぬカレー沢さんのガチャ爆死録は必見です!