コーディネート全般が苦手な乙女ゲーマーの行方「夫婦のインテリアのこだわり」

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今回のテーマは「夫婦のインテリアのこだわり」である。

突然だが、私はインテリアを含む、コーディネートという奴が苦手である。
もはや「興味がない」いっそ「嫌い」と言っても過言ではないかもしれない。

突然だが私は昔から乙女ゲーマーであり「大体の青春は画面の中で経験してきた」でおなじみである。
AM読者は三次元の男どもとのセックスには相当詳しいと思うが、画面から出てこない男との恋愛にはダイヤモンドバージン乙女も良い所だろう。 よって、一応説明するが、乙女ゲーとは、自分の分身たるヒロインを操作し、二次元のイケメンたちと恋愛するゲームのことである。

だがほんの20年前まで、乙女ゲーというのはその数自体が少なかった。 よって、昔の子どもがガムを消滅するまで噛んだように、ティーンの私は1本の乙女ゲームを「乙女ゲーの選択肢全部選んでみる」という「池の水全部抜く」ぐらいの勢いでやりこんでいた。

しかし、乙女ゲー界も終戦と行動経済成長を迎え、今や飽食の時代であり、さらにスマホ含む携帯型ゲーム全盛である。

乙女ゲーというのはそもそも、人様から隠れてやりたいものなのだ。 よって、ゲームと言えば、テレビを使った据え置き機だった時代、実家住みの乙女ゲーマーは、家族の寝静まったあと、ヘッドフォンで画面の中のアイツと逢瀬を重ねていたのである。

こう書くとロミオとジュリエットっぽいが、実際は男子高校生が隠れてAVを見ているスタイルと全く同じである。
よって、例え実家住みでも隠れてプレイできる携帯ゲーム機と乙女ゲーの相性は大変良く、その数は爆発的に増えた。
今でも、グーグルプレイなどで「乙女ゲー」と入力すれば、クソほど乙女ゲーが出てくる。

アイスの蓋を舐める、を越えて噛んでいた、飢えの時代からすると、まさに宝の山だ。
だが、私はその宝の山から、現在2.3個しか乙女ゲーをプレイしていないのだ。

それは何故かというと、スマホの乙女ゲーというのは、ヒロインのアバターに色んなアイテムで着せ替えをしてストーリーを読もう、というのが非常に多いのだ。

これが、苦手過ぎるのである。

ファッションやコーディネートに興味がある人なら、アバターに色んな衣装を着せるのは楽しみの一つだろうが、私はコーディネートに興味がない、興味がないのにストーリーを読むためにイヤイヤ着せ替えをする、イヤイヤやっている上にセンスがないので、アバターがどんどんダサくなる、萎える、という繰り返しでゲームが全く続かないのである。

乙女ゲーだけでなく、どうぶつの森、のような自分好みの村や部屋を作ろう、みたいなゲームも楽しみが見いだせたことがない。
どんな自分好みのキャラが出てくる乙女ゲームですら「着せ替え」の文字が出て来た時点で「このたびはご縁がありませんでしたが、ご多幸をお祈りします」とお祈りメールを出して閉じてしまうのだから、私のコーディネート嫌いは相当なものである。