誠実な気持ちがあれば、理解も応援もしてくれる
少しだけ話がそれますが、わたしの昔話を聞いてください。
わたしにも、あなたと同じように学生時代に仲の良い男女グループがありました。
みんなおもしろくて気のいい友人たちばかりで、妙に気が合って、しょっちゅう遊んではバカなことばかりやって、なにをしていても楽しくて、「このままこの関係がずっと続けばいい」と思うくらい、とても大事な居場所でした。
男女のグループといえど、恋愛に付随するホレタハレタなんてのとは無縁で、あくまでも仲の良い友人関係でしたが、そのメンバーの中にある一組のカップルがいました。
もともと友人という関係から交際に発展したので、今のあなたととても似た状況ですね。
そのカップルは、たしか7年くらいお付き合いをしていましたが、いろんな要因が重なり、結果的に別れることになりました。
交際期間が長く、仲睦まじい二人の様子をずっと見ていましたから「いつか結婚するのかな?」と思っていたのは事実ですが、二人が別れを選択したことに関してはほんとうに仕方のないことだと思っています。
彼と彼女の人生ですから、大好きな二人が一生懸命悩みに悩みぬいて出した結論を、わたしたちは応援しないわけがありません。
その二人が別れるか別れないかという局面で、彼女のほうがぽろっと「わたしたちが別れたら、今までのように集まったりできなくなるだろうから、みんなに対して申し訳のない気持ちがある」とこぼしたのを、今でも覚えています。
それを聞いたわたしを含めた他の友人たちは、みんな口をそろえて「そんなの気にしないでよ!」と口をそろえて言ったのです。
だって、周囲を気にして、みんなの気持ちを考えて、その二人が望んていないかたちのまま過ごすのは、友達としてとてもかなしいじゃないですか。
むしろ彼女に気を遣わせてしまったこと、決してそんなつもりはなくても本人にプレッシャーを感じさせてしまっていたことに申し訳なさを感じ、心から反省しました。
「あなたたちにしかわからない事情があるだろうから、難しいかもしれないけれど、周りのことを気にせず自分が一番いいと思える選択をしてほしい」というのが、わたしたちの総意でした。
その二人が同じ道を歩もうが、別の道を歩もうが、大好きな友達には変わりありませんから。
10年近い歳月の間に、わたしたちはそれぞれ就職をしたり、地方に引っ越したり、上京したり、結婚したり、離婚したり、子供が生まれたりと、学生だった頃とは環境が変わりました。
変わらず仲は良かったものの、昔とは関係性や付き合い方に変化があり、確実に大人にもなりました。
たしかに、その二人が別れたことで学生の頃のように同じメンバーで集まって、ということはなくなりましたが、それはその二人が原因ではなく、年齢を重ねてそれぞれの環境が変わったことによって自然と訪れた変化のひとつだと思っています。
そして今でもみんな、彼とも彼女とも変わらず仲良しでいられることは、変化の中で得られたひとつの縁でもあります。
もしわたしがあなたが大事に思っている仲良しのメンバーの立場だったら、周囲との関係を気にして自分の気持ちに蓋をするなんて、そんなかなしいことはしてほしくありません。
たとえば、同じグループ内でとっかえひっかえ付き合うとか、体だけの関係が蔓延してるとかであれば、「勘弁してくれー!そんなの楽しくやれないじゃん!」と思うかもしれません。でも、本人たちに誠実な気持ちがあるのであれば、二人が上手くいったらもちろんうれしいですし、たとえ上手くいかなかったとしても誰も責めないはずです。
彼に対しても友達に対しても“誠実である”ということは、周りに対してズルをしないことであって自分の気持ちに蓋をして我慢することではありません。こんな風に、自分だけでなく周りの友達のことも考えて、わたしに相談を送ってくださったあなたのことですからきっと大丈夫。みんな、ちゃんと考えていますし、絶対にわかってくれますし、着実に大人になっていきますから。
最後に、「彼は面食いだけれど、自分は食われるような見た目ではない」という考え方は、やめましょうね。
過去の経験や自信のなさからそんな風につい思ってしまうのかもしれませんが、言霊というものがありますから、思い込みに引っ張られているとますます自信は失われていきます。
世間の基準ではわからないけれど、彼にとってあなたは誰よりもかわいい。それでいいじゃないですか。
愛おしく思う人は世界で一番かわいく見えるんですよ。
だって、それが正義なんですから。
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この連載では引き続き読者の皆さまからの恋愛相談を募集します。
最後の一歩が踏み出せない方の背中をドーン!と押すため、今にも崖から落ちそうになっている人を腕一本で引き上げるため、誰かに厳しく叱られたい方の左頬をフルスイングで打つため、わたくしポジティブゴリラは日々ゴリラらしく腕力を鍛えてお待ちしております。
Text/ものすごい愛
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