恋、信仰、人生――誰もが“永遠”に葛藤を続けている

トゥ・ザ・ワンダー テレンス・マリック ベン・アフレック オルガ・キュリレンコ レイチェル・マクアダムス ハビエル・バルデム ロングライド 2012 REDBUD PICTURES, LLC

 たとえ“永遠”という言葉が存在するとしても、容易く愛に添えてしまっていいのだろうか。
その愛について、浅くも深くも考え込んでしまう葛藤にこそ添えてあげたい。それはとてつもなく辛い事実で、過酷な現実なのです。

 ニールとマリーナは、愛さえあれば他に何もいらないとすら思っていた。
前夫と正式な離婚手続きをしていなくても、たとえ二人が結婚できなくても。
そんな愛を打ち砕いたのは、浮気でも事故でも災害でもない。時間だったのです。
時間は、人の感情を良くも悪くも変化させてしまう。ニールとマリーもうつろう愛情にとまどいを感じ、その葛藤に永遠と苦しめられる。

 そして、彼らが相談相手として頼りにしている神父・クインターナにも葛藤があった。
神は何なのか。どこにいるのか。どうして姿を現さないのか。その実態を掴めない彼は苦悩する。
本作は途中から彼のナレーションがメインとなり、物語を詩的な言葉で運んでいく。

 恋の終わりと、愛の消滅。
それは神にも解決できない問題であり、ニールとマリーナとクインターナをより深く“永遠”の葛藤へと導いていくのです。

自然の風景に、人間の風景は敵わない

トゥ・ザ・ワンダー テレンス・マリック ベン・アフレック オルガ・キュリレンコ レイチェル・マクアダムス ハビエル・バルデム ロングライド 2012 REDBUD PICTURES, LLC

 印象的なのは、激怒したニールが運転中の車を停めて、マリーナを荒野に置き去りにするシーン。
程なくして、やりすぎだと思ったのかニールが戻ってきて、無言でマリーナを乗せる。

 この二人、もう別れたほうがいいでしょ。誰もがそう思ってしまう。

 でも、二人はもはや情けでしか付き合えていないからしょうがない。愛情ではなく、“情け”だけで一緒にいる惰性がニールを怒らせ、マリーナを傷つけている。
激しく抱き合い、仲良くじゃれあっていた二人はもう過去でしかない。現在進行形なのは、発狂したようにマリーナが部屋をめちゃくちゃにする光景だけ。

 一方、そんな残酷な日常風景と対比されるシーンが心を打つ。
せせらぐ水。暮れゆく空。自然の風景が映し出されることで、移り行く男女の関係がより切なく感じられる。
水が波打つように、一定の感情は保てない。空が毎日、白と青と赤と黒を繰り返すように永遠なんて存在しない。
どこにでもある男女の恋愛のもつれから、どんどん壮大なテーマに歩み寄る。
同時に、この男女の姿が普遍的なものとして目に映るのです。