愛する人のことをどれだけ知っているだろうか。
いくら言葉を交わして身体を重ねても、心の中までは見えない。どんなに毎日顔を合わせていても、その人の真実には辿り着けないことがある。
由加利は同棲している恋人・桔平のことをすべて知っているつもりだった。それがまさか、その名前も職業も、すべてウソだったなんて――。
新たな才能を発掘する「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」でグランプリを受賞した企画を、CMディレクターとして活躍する若手監督・中江和仁が映画化。
長澤まさみと高橋一生が恋人同士という話題沸騰必至のキャスティングだけでなく、さらにDAIGO、川栄李奈、黒木瞳、吉田鋼太郎といったバラエティに富んだ面々が脇を固めている。
パズルのように桔平の過去が暴かれていく
一見、結婚詐欺師に欺かれたか、信じていた恋人に裏切られたか。と、単なるキャリアウーマンの悲劇を描いた作品に思わせる。
が、蓋を開けてみると探偵とともに恋人の過去を探る推理劇であり、愛に溢れたロードムービーでもある。
桔平(高橋一生)が書いていた小説が見つかり、その物語の舞台・瀬戸内海へと由加利(長澤まさみ)と私立探偵・海原(吉田鋼太郎)が向かう。ロウソクに見える灯台や桔平が探していたオモチャなど、伏線として数々のキーワードがパズルのように埋まっていき、桔平の過去が浮かび上がるというミステリー的な面白さがある。
また、桔平自身だけでなく、由加利もまた自分が何者なのか問い詰めていく。ウーマン・オブ・ザ・イヤーに輝き、完璧な女性像を体現しながらも、どこか満たされない。何を目的に仕事をしているか、日々を何のために生きているのか、自らを見つめ直す心の旅路にもなっている。
「あなたは誰?」
――見せかけの虚勢で生きていないか、由加利は自分自身に問いかけるように桔平との5年間を追っていく。
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