「マナーが人を作る」――ストリートあがりの生意気な青年・エグジーが、エースエージェント・ハリーに品格を正されて、一人前のエレガントなスパイに成長していく『キングスマン』から約2年。
前作以上の爆アゲのテンションで鬼畜度がさらに増し、そして最大の持ち味といえるセンスに溢れた遊び心満載のアクションが今回も健在だ。
舞台をイギリスから全世界へと拡げ、新年早々派手にブチかましてくれる。
『キック・アス』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』など規格外のアクション映画を世に放つマシュー・ヴォーン監督とともに、タロン・エガートン、マーク・ストロングもキングスマンのメンバーとして続投。
前作で衝撃的な死を迎えたハリー演じるコリン・ファースも再び登場し、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、チャニング・テイタム、ジェフ・ブリッジスといった一流のオスカー俳優らが名を連ねる。
さらに、ミュージシャンのエルトン・ジョンが本人役で出演し、「エルトン・ジョンの無駄遣い(褒めてる)」と呼ぶべき、トラウマ級の強烈な印象を叩き付ける。
素敵なおじさまとイケメンが共闘する天国
悩みを抱えている人や、もやもやとした思いを引きずっている人は、今すぐ本作に触れてほしい。少なくとも141分間だけは映像の中に引き込まれ、その楽しさに現実世界の鬱屈を一瞬たりとも思い出せないだろうから。
ワンカットに見せかける360度回転のアクションシーンはグンとアップデートされ、マシュー・ヴォーン監督お得意のブリットポップからカントリーまで幅広いジャンルを網羅した楽曲センスが光る。既視感やマンネリ感をブチ壊し、“続編は一作目を超えられない”というジンクスを完全に裏切っている。
数々の秘密兵器やアメコミ的世界観から、中二男子御用達の作品と思われがちだが、くすぐるのは決して男心だけではない。
ハリーとエグジーの腐女子人気は世界レベルで拡がっている。背広で黒縁メガネ同士の師弟関係は二次元でいまだかつて前例がなく、それがまさか三次元で描かれるなんて。という視点でも『キングスマン』は需要が限りなく、尊い存在なのだ。
丸坊主でタンクトップの頭悪そうなムキムキ野郎ではなく、長身で紳士的な素敵なおじさまとイケメンが手を合わせて戦うという天国は、他では絶対に味わえない。
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