エターナル・サンシャインの監督最新作!14歳の男子あるあるに悶え死ぬ『グッバイ、サマー』

たけうちんぐ グッバイ、サマー ミシェル・ゴンドリー アンジュ・ダルジャン
©Partizan Films- Studiocanal 2015

 子どもの頃にしか見えなかった風景がある。それはセピア色に色褪せた思い出補正の美しいものだけでなく、コンプレックスで塗り固められた黒歴史でもある。
「ここから抜け出したい」なんて思ってもみただろう。それでもまさか自分たちで車を作って、しかもそれが家にもなるという高度な旅は誰も思いつかない。
それを実現させたダニエルとテオの2人が、子どもの頃の淡い夏の思い出をほんの少し思い出させてくれる。

『エターナル・サンシャイン』など傑作ラブストーリーのみならず、ダフト・パンクやレディオヘッドなど数多くの著名アーティストのMV監督で知られるミシェル・ゴンドリー。彼の半自伝的とも言える青春ロードムービーに、新人のアンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、『アメリ』で知られるオドレイ・トトゥらが顔を揃えている。

ダニエルが気づいていない“自分の魅力”に萌え死ぬ

たけうちんぐ グッバイ、サマー ミシェル・ゴンドリー アンジュ・ダルジャン
©Partizan Films- Studiocanal 2015

 はっきり言って、この104分間あなたは萌え死ぬ。それはどういうことか。日本の思春期男子とはワケが違う。これはフランスの14歳男子の性春ストーリーだ。
町の風景も少年の金髪も肌の白さも美しく、それでいてシュールな笑いに満ちている。その根源はすべて、男の子2人のコンプレックスゆえの“背伸び”。子どもから大人に向かう過程を、ここまで可愛らしくユーモアに溢れて描くなんて。

 ダニエルの存在感が素晴らしい。女の子っぽい容姿にコンプレックスを抱える本人には申し訳ないが、スクリーンに現れた瞬間女の子に見間違えた。むしろそのビジュアルが様になっているのに、本人はまるで自分の魅力を理解していない。自らを客観視できずに、本来の自分らしさに気づいていない。そんな思春期特有の反骨精神が嫌味なく映し出される。

 過度に干渉する母親に刃向かう姿も可愛らしい。急に「髪の毛を切る!」と言い出したり、好きな女の子に会うために旅の進路を変えたり、数々の“背伸び”をするエピソードがとにかく愛おしい。
女性の裸体の落書きをたくさんベッドの下に隠し、それが母親にバレるくだりは“思春期男子あるある”。そんな彼が性の目覚めについてテオと真剣に話し合うシーンに、萌えずにはいられないだろう。