実は、わたしもかつてはバカにされやすいタイプでした。
性格は人と比べるものではないので一概に言い切ることはできませんが、自分の性格を分析すると、他人に何を言われてもどう思われても傷つかないタチで、それに加えてわりと弁も立つほうなんですよね。
だからというわけではありませんが、バカにしたような物言いをされることがしょっちゅうあり、そのたびにおもしろおかしく返していました。
当時は「これでひと笑い起きるならいいや」「場が盛り上がってよかった」くらいに思っていたんですが、大人になってからふと気付いたんですよね。「あれ？この人たちと一緒にいてもなんにも楽しくないぞ？」「どうして他人が発したおもしろくもなんともない悪口を、傷ついてもおかしくない側のわたしがフォローして、場の雰囲気を壊さないように頑張らなくちゃいけないの？」と。
それから、バカにしてくる人たちに対して誠実であろうとし続けることが難しくなり、その場の雰囲気を壊さないがために自分を削るような振る舞いを一切やめました。
そうすると、不思議なことに、自分の周りには思いやりをもって接してくれる人たちばかりになり、自分も相手に対して思いやりを持って気持ちよく過ごせるようになったのです。
バカにしてくる人たちがいなくなって困るようなことも、自分の立場が悪くなるようなことも、一切ありませんでした。

他人からバカにされやすい、マウントを取られやすい、と感じている人はわりとたくさんいると思います。
もちろん、いちいち人をバカにした発言をしてくる人間、なにかにつけてマウントを取ってくる人間が悪いのですが、残念ながら他人を変えることはできないんですよね。
だからといって、それを受け入れようと努力したり、言われても我慢したりなど、自分を変える必要はありません。
“毅然とした態度の出し方を知っておくこと”が、自分を守るための一番の術だとわたしは思います。

送られてきた相談文を読んで、あなたがとてもやさしく、穏やかな人だという印象を受けました。
それは、とても素敵な長所です。
ただ、ちょっと思い返してみてほしいのですが、相手にバカにしたようなことを言われたとき、どういう伝え方をしましたか？
やさしくて穏やかなあなたのことですから、相手が怒ったり嫌な気分になったりしないように、「そういうのちょっと嫌だなぁ、あんまりしないでほしいい……」と申し訳なさそうに恐る恐る伝えたり、「もう〜そういうのやめてよ〜」と笑いながらやさしく注意したりしていませんでしたか？

誰しもが、他人の反応を自分の行動の指標にするのだと思います。
それを正しく判断できる人は、自分の今までの経験を反映させ、常に想像力を働かせ、思いやりとマナーを守って他人と接しますが、間違って受け取ってしまう人は「この人はここまで言っても大丈夫なんだ」「これをやっても怒らないんだ」と相手が傷つくラインをジリジリと侵食し、調子に乗って度が過ぎていることに気づかない場合があります。
これまで、あなたは自分なりにとても勇気を出して発言をしていたのかもしれませんが、もしかしたら過去の男性たちの中にはそれを都合よく捉えて、今後の行動に活かしてしまった人もいるのかもしれません。
もちろん、あなたはきちんと伝えていますし、あなたの勇気を出して発した言葉を本心だと受け取らない方が悪いのは大前提です。
でも、自分を守るために、あなた自身が毅然とした態度を出せるようになってほしいと思います。
「人をバカにした言い方はやめて。ほんとうに気分が悪いから。わたしはそういう発言をおもしろいとは思わないし、それを当たり前にやってくる人間も大嫌い」といった風に。
それでも、嫌な態度を改めない人や、「え？こんなただの冗談なのに、なに怒ってんの？」と理解してくれない人もいるかもしれません。
でも、そんなのは放っておいても大丈夫。
先にもお話ししたように、そういう人たちが周りからいなくなったところで、困ることは何ひとつありませんから、安心してください。

怒っていることは怒っている、うれしいことはうれしい、相手に直してほしい部分はここ、相手のいいところはこういうところで好きと、言葉にして伝えるときはそこに態度と表情も乗せられるほうが、きっとあなたのためになります。

いきなりは難しいかもしれませんし、できない場面や失敗してしまうこともあるかもしれませんが、自分を守るためにちょっとだけ頑張ってみてほしいと思います。