夢中だった彼をふった女友達。未練たらたらな彼に感じたこと

「彼女、どうしてる?」

夢中だった彼氏を振った女性の画像

 半年ほど前、知り合いのカップルが別れた。理由は結婚のタイミングのズレで、いますぐ結婚したい彼女・まだ自由でいたい彼氏という、よくあると言えばよくある話だ。

 その時彼女は28歳で、「30歳までに結婚する」という明確な目標を持っていた。彼氏と別れて、新しい人と出会う→付き合う→結婚する……というステップを踏むことを考えると、もう時間はないと判断したらしい。
別れの報告をくれた際、「もうマッチングアプリにも登録したし、実は職場に気になる人が」と言っていた彼女。その後『気になる人』を見事ゲットし、近々両親に挨拶に行くとか。

 一方彼氏の方はと言うと、未だ彼女を引きずっている。合コンの誘いはあるようなのに、二言目には「彼女、どうしてる?」だ。
付き合っている最中は、彼女を大切にしているとはいえなかった。浮気騒動やモラハラっぽい言動もあったので、実は前から別れてほしいと思っていたのだ。そんな彼の別れてからのグダグダは意外でもあり、やっぱりな、と思わなくもなかった。

失ってからわかるもの

 ふたりの出会いは、新卒時代のグループ研修だった。数社から集められた新卒社員が、グループを作って数日間の研修をこなした。わたしも同じグループにいたので、ふたりとも知り合いなのである。

 彼は目立つほうではないものの、気配りができる真面目な努力家。顔立ちだって悪くない。彼女が好きな舞台俳優によく似ていて、ほぼ一目惚れ状態だったらしい。
友人としての彼は、間違いなく「いい人」だった。だから、最初に彼女から相談を受けたときは驚いた。決して長い付き合いではないものの、「まさか、あの彼が?」だった。

 誰かを失ってから、与えられていた愛情や優しさに気づく経験は、多くの人にあるのだと思う。人はその環境になれてしまうから、当たり前のように思ってしまうのはある程度は仕方がないことなのかもしれない。けれど、彼の場合は度が過ぎていた。自分に夢中な恋人を振り回すことで、自分の価値を確認しているように見えた。
それまで恋人ができたことがなく、急に「あなたのすべてがすっごくタイプ!」と言ってくれる女の子に出会ってしまったことで、タガが外れてしまったのかもしれない。

 愛情に形はない。見えないからこそ、誰もが言葉や物でそれを証明しようとする。彼の証明方法は、たぶん「許し」だったんだろう。
はじめは小さな約束を破ることから。仲間内の集まりがあれば、一番に待ち合わせ場所に現れるような律儀な彼が、滅茶苦茶な理由で彼女の誕生日をすっぽかしたのを知ってから、わたしはちょっと怖くなっていた。このままDVに発展してしまうのではないか、と。

 別れる前、研修のグループにいた男の子がそれとなく彼女との様子を聞いても、彼は「うまくいってる」の一点張り。わたしが彼女に別れを勧めても、最後は「でも、もうちょっと頑張ってみる」と自分に言い聞かせているようだった。
家族でもないわたしたちには、強制的に別れさせる権利はなかった。