欠点を帳消しにできる恋

昔は、たったひとつの長所ですべてを帳消しにする恋ができていた気がする。
理想の恋人の条件を、「頭が良いこと♡話が面白いこと♡できれば顔はw-inds橘慶太似♡」としていたわたしも、当時、橘慶太に瓜二つな先輩が目の前に現れたとしたら、彼が九九を言えなくても許しただろうし、話題が漫画『ワンピース』のみでも恋に落ちただろう。『ワンピース』もその日に全巻購入すると思う。でも、今は怖い。掛け算ができない男が日常にきたす支障が、一瞬で頭を駆け巡ってしまう。

大人になると想像力がしぼむと言われるが、未来に待ち受けるリスクへの想像力は、膨らんでいくのではと思う。自身の経験や、周囲の話を聞くことで知識を得た末のことだから、決して悪いことではない。だけど、それらと引き換えに、先の見えない未来にえいやっ! と飛び込む勇気を失ってしまったような気がする。想像のつく未来がほしい。思い描いた普通の未来を乱さない、普通で安心のできるパートナーも。

先日、友人たちと理想の「じゃない人」話題で盛り上がった。「連絡がマメ過ぎない」「でも放置しすぎない」「依存体質ではない」「ギャンブルはしない」など様々な条件が挙がる中、「SNSのフォロワーが多すぎない人」という条件がほぼ全員の同意を得ていた。
わたしもわかる~!と笑っていたし実際わかるのだけど、自分のTwitterのことが頭に浮かんで冷や汗をかいていたことは、友人たちには内緒にしておく。

Text/白井瑶

次回は<女の友情はもろいのか?彼氏を友人から奪われたときを考える>です。
「女の敵は女」とはよく聞く言葉ですが、「女は友情よりも男を選ぶ」というのは本当でしょうか。恋愛が絡むと女性の友情はややこしくなるもの。時には「愛されること」を求めるあまり、彼氏を奪った女友達を憎んでしまうことがあります。「愛されること」に囚われた女性の心を白井瑶さんが解き明かします。