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  • 2017.04.03

私が死ぬか相手を殺すか…既婚者への片思いが4年目に突入した27歳女性の話

「不倫は女の沼」そんなことは言っても好きになった人がたまたま既婚者だったということもありえます。だけど4年にもわたる既婚者への「片思い」、すなわち不倫未満の関係は本当に楽しい恋といえるのでしょうか?茨の道だって抜け出せるっていうけれど…

見知らぬ既婚者から食事に誘われる

海坂侑 恋愛相談 悩み 解決 しない あきらめ 恋愛

 聡明で麗しいAM読者の皆さま、相談者さま、こんにちは。
ツイッターのダイレクトメッセージを相互フォロー以外へも解放したところ、見知らぬ既婚男性からの飯の誘いが絶えません、海坂侑です。アンタ、道徳観も誘う相手もインターネットの使い方も、何もかも間違ってるよ。

 この年にもなると、イイなと思う男性に配偶者あるいは彼女あるいはセフレがいるなんてことは何らめずらしいことではなくなってきました。それもそのはず。彼らは他の女性から男性として、あるいは人間として価値があると既に認められている、謂わば保証書付きのA5ランク牛肉のようなもの。魅力的に見えてしまうのも当然です。
 とは言え、リスクも競争率も高いその肉に手を出すかはまた別の問題。

 私はスポーツでも仕事でも恋愛でも、ライバルの影がチラとでも見えた瞬間にやる気も興味もなくす、徹底した負け犬根性の持ち主です。彼はどうやら高級肉らしいと判明するやいなや気持ちが萎えてしまいます。だからここしばらくは恋心も萎れっぱなしです。でももしかすると、そんな状況と分かってもなお諦められない人が現れたらそれこそが、本物の恋というものなのかもしれませんね。なんちゃって。

 今回の相談者さんはそんなイバラの森に踏み込んで、もう4年も彷徨い続けているという強靭な精神力の持ち主です。1回目2回目とかなりヘビーな相談が続きました。今回も心してまいりましょう。“絶対に解決しない”恋愛相談室、おごそかに開設です。

4年目に突入した既婚者への片想い

 こんにちは。アカウント名が眞駒さんの時代から海坂さんのTwitter楽しく見てます。私は今年27歳になる独身で、役所勤めをしています。もう恋愛なんか糞食らえっていう気分で書き込みしているんですが、今片思いしてる相手が既婚者です。その前に好きになった相手も既婚者でした。さらにその前に好きだった人は幸運にも独身でしたが、2年付き合ったと思ったら最初から二股かけられててしかも自分は本命じゃなかったという、元彼にカウントすらできない恋愛でした。片思い中の既婚者の方とは、仕事を失いたくない理性も働いて、今まで一度も不倫には至っていません。でも、そんなだから相手に幻滅することすらできず、相手を好きな気持ちが日に日に増す一方で、どっちに転んでも惨めで辛い思いしかありません。3年で恋心は消えるという噂を信じていたんですが、片思いも4年目に突入しました。私が死ぬか、相手を殺すか以外に何か平和的な出口ってあるんでしょうか。あるんだろうけど見えません。(27歳・女・ほととぎす)

イバラの中で死なない方法

『私が死ぬか、相手を殺すか』ってアンタ...お役所勤めの堅実な女性像からはまるでかけ離れた物騒さです。まずは一旦落ち着いて、その振り上げた包丁を下ろしましょうね。そして周りを見渡してみましょう。一面に広がるイバラの森の中で、立ち尽くしているのが今の状況です。
長年にわたる既婚男性への片思いからの出口が『あるんだろうけど見えません』とおっしゃるほととぎすさん。それでは生きて脱出する方法を一緒に探してみましょう。

 イバラの森から抜け出すには以下の方法に集約されるのではないでしょうか。
ズバリ“もと来た道を戻る” “防護服を着て歩み続ける” “焼き払う”の3つです。


 “もと来た道を戻る”というのはカンタンな話、諦めてしまうということです。そもそもフツウの恋愛の場合ですら、4年も片思いが続いてしまっている状況と聞くと、まあ…残念ながら望みは薄いんじゃないですかね…? という感想が出てきてしまいます。
望みが薄い恋を諦める。それはごく一般的な処置ですよね。もちろん引き返すにしてもイバラは生い茂っていますから、擦りむいたりトゲが刺さったりはあるでしょう。でもそれは、恋に破れた誰もが負う痛みです。どんな恋愛にしろ、引き際に無傷でいられることはないのですから。

 それでもやっぱり諦めきれず、イバラをかき分けて進んでいくことを決意した場合でも、あんまり痛い思いをするのはイヤですよね。それならば“防護服を着て歩み続ける”のもひとつの手段です。自分の身を守って、少しでもラクな状態で片思いを続けましょう。要は他の男性にもちょっと目を向けてみて、軽くもう1コ恋愛してみませんか? という提案です。

 ただの防護服だから、運命の相手をホンキ出して探す必要はありません。お遊びでも手慰みでもいいのです。ただフと辛いときに「私にはこの人だけじゃない」と思える、どうしようもなく寂しいときに「仕方ないから他の人で穴埋めしちゃお」と代替できる、ただそれだけで、気分って軽くなるものではありませんか?

 どうやら二股されがちなほととぎすさんに、二股することを提案するのはなんだか非常識な感じもします。でも前の彼も、前の前の彼ももしかすると、しんどい実生活を生きるための防護服を必要としていたのかもしれませんね。

 そんなんじゃ満足できない! 他の恋なんてもうできるワケがない! と頑なに信じるのであればもういっそのこと、イバラの森ごと“焼き払う”のが手っ取り早いです。世間体だの将来だのは、もはや関係ありません。その既婚男性に手を出しましょう。止まることを知らない恋心を実行に移しましょう。その結果、恋の炎がメラメラと燃え上がるか、くすぶって終わってしまうかは分かりませんが、少なくとも視界は開けます。

 ただし、焼き払ってイバラの森が見事に消え去ったとして、次は火の海か焼け野原のどちらかを歩んでいかなければならないことも確実です。それはそれで相当苦しいはずですがほととぎすさんは、イバラの中で包丁を構えているのと、炎と煙に巻かれるのとでは、どちらがマシだと思われるでしょうか。

 

そもそもそのイバラ、本物ですか?

 さて、ここまでイバラの森から生還する方法を考えてきましたが、もう一度よくよく確認してみてもよいのではないでしょうか。
そのイバラ、もとい、その恋は、本当にマジで本気のガチな本物なのかしら? ということです。

 既婚者に3年以上も片思いし続ける、それは相当の胆力です。新卒で就職した会社を僅か2年半で辞め、恋人とも1年以上続いたことがない私は、ほととぎすさんのツメの垢を煎じて飲みたいです。

 でも、じゃあこの先ほととぎすさんは、その彼とどうなる想定なのか、どうなれば理想なのか。不思議なことに、まったく見えません。

 一夜だけでも共に過ごせたら満足なのでしょうか? 愛人として付き合っていきたいのでしょうか? それともご家族や奥さまから略奪して、一緒に人生を歩んでいきたいのでしょうか?

 そもそもこの恋が進展したところでそれは、詰まるところ“不倫”以外の何物でもないのですが、所謂“いけない恋”へ邁進する女性心理に付随しがちな罪悪感や葛藤すら、ほととぎすさんには一切ないように見えるのがとっても不思議です。やや不気味にさえ思えます。

 『もう恋愛なんか糞食らえって気持ち』と書き捨てながら、ほととぎすさんは実際のところ、恋愛というものをとても大切に思われているように感じます。二股されていた相手は元カレとしてカウントできないと言う潔癖さや、何年間も片思いを続けられる一途さ、むかし好きだったしょうもない男をきちんと記憶に残しておくマジメさ。本当はほととぎすさんにとっての恋愛って、大切で、楽しくて、日々に欠かせないものなのではないでしょうか。

 確かにタイヘンな辛い思いをされてきて、投げやりになってしまうこともあるでしょう。でも、ご自身の生き方や恋愛との向き合い方はその実、かなり真摯で切実です。私にはそう見えます。
 
 もしかしてほととぎすさんは、さほどの刺激もめぼしい出会いも、ときめく出来事もない毎日に彩りを添える“必要性”から、既婚者の上司に片思いをしてはいませんか?

 冒頭で私は、過酷な状況に陥ったとしてもなお捨てられない恋心があるとしたら、それが本物の恋かもしれないと書きました。仕事を失いたくない理性で踏みとどまれる程度の気持ちならば、具体的な願望も将来を見据える気が起こらない程度の相手ならば、誰の命を絶つか悩むまで思い詰めて、苦しむほどの価値はないのかもしれません。
 
 じっくり見直して、手を伸ばして触ってみて、イバラの正体をもう一度だけ確かめてみましょう。実はほととぎすさんが自ら飾り付けた、単なる造花に過ぎない可能性があります。
 進むも、戻るも、焼き払うも、あるいは立ち尽くしたまま刃を振るうのも、ほととぎすさんの自由です。ただ実際に行動へと移すのは、そのしんどすぎる恋心の正体を見極めてからでも決して遅くはありません。

 この連載では、引き続き皆様からの恋愛相談をお待ちしています。

 誰かの人生をかけた必死な恋愛を正しいとか間違っているとか、決めつけてしまえるほどの知見も権利も、私は持っていません。けれど苦しんでいたら慰めるし、幸福を得られたら一緒に喜ぶことはできます。あとはご自身の希望と正義と道徳心に反しない道を見つけて、迷わず進んでいけることを願うばかりです。
またお会いしましょう!

皆さまからの恋愛相談を募集しています

 どうぞお気軽にコチラから相談をお寄せください。

Text/海坂侑


次回は <大好きな恋人に触られたくない。セックスが苦痛な21歳女性の話>です。
AM読者から今回寄せられた相談は、「ずっと付き合っている大好きな彼氏とのセックスに嫌悪感がある」というもの。きっと少なくない数の女性(そして男性も)が悩んでいるはずですが、海坂侑さんの回答は「今この瞬間を大切にしすぎない」というもの。いったいどういうことなのでしょうか?

ライタープロフィール

海坂侑
平成生まれの独身アラサー。都内IT企業を退職し、日々ボンヤリしています。
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