付き合う前から男たちが一目散に逃げていく

自慢じゃないが、わたしはめちゃくちゃ重い。

そんな重い女だと、そもそも付き合う前から男に逃げられませんか? と心細げな声が聞こえてきそうだから、敢えて言おう。

逃げる男は、そりゃあ確かに逃げる。もう一目散に逃げていく。

でも、そんな男には先に逃げてもらったほうが好都合だと、わたしは思う。超絶重い女のわたしが、もし己を殺して軽い女ぶって、軽い女が好みの軽い男と交際したって、ただただスピードをあげて自爆へと向かうだけである。そもそも軽い男なんて、こちとら全くタイプじゃないし。

重い女の自分を「そのままでいいよ」と受け入れてくれる、心の広い男を選べばいい。万人から好かれる必要なんてなくて、たった一人の生涯を共にできる相手と巡り合うことが、婚活なんだから。

初デートで地獄の重い女アピールをかます

恋人との初デートは、耳が痛いほど凍てつく夜だった。

スパイスの香り立ち込めるバーのカウンター席で、「わたしは重い女だから、付き合ったら報連相がきちんとできない男はムリ。浮気したら殺す。他の女の子を可愛いと言っても殺す。30歳までに結婚したい。(当時28歳10カ月)」という、今思えば地獄のような重い女アピールを彼は延々聞かされていた。

だがそれに屈することなく「初デートでこんなに重い女アピールするひと、初めて見た。普通は重くないアピールするでしょ」と彼は笑っていたのだ。

正直言って、重い女アピールをしているつもりはなく、こちらとしてはできるだけミスマッチを防ごうと正直に己を曝け出しただけだったのだが、それもそうだなとわたしも笑った。彼はさらに続ける。「結婚したい人にとっては、重いというのは交際に真面目なことだし、いい事なんじゃない? それに、浮気するような軽薄な人ではないとわかるよ」と。

自分を重い女だと認められない皆さん、聞いてください! ほら!!! 重いことは決して、悪ではない!!!! 脳内でファンファーレが鳴り響いた。

「確かにうろんちゃんは重いけど、でも、重いことは別に問題ないじゃないよ。今度水族館へ行こうか」そう言われた瞬間に、ああこの人だとわかった。

そしてその時はっきりと「この恋に落ちよう」と、わたしは意志を固めたのだ。

Text/うろんちゃん

初出:2016.12.14

次回は <その「男ウケ」本当にウケてますか?私がゆるふわ巻き髪を捨てた日>です。
「モテること」「男ウケ」を気にしてつやつやのロングヘアーを維持しようとしてはいませんか?あなたが買ったその総レースの白ワンピースで、釣れる男性はあなたの好みのタイプドンピシャですか?サブカル塩顔男と付き合いたいのに、商社マンばかりと連絡先交換していませんか?