ほかの男は関係ない

 お姫様扱いしてくれない上に性的に楽しませてくれない彼氏が「与えてくれないものが欲しくて」、ほかの男と2人で飲みに行ったりデートしたりもした。そして銀座のキャバクラでアルバイトもしている。

「ほかの人とのデートは、たまには女の子としてエスコートされたくてするだけ。彼氏への罪悪感は特にないですね。キャバクラも、私おじさんは嫌いだから逆にグイグイ躊躇なく接客出来る。もちろん彼氏も働いてることは知ってますよ。今のテレビもお客さんに買ってもらったし」

 デートもキャバクラも、一緒にいる男に全く心が動いてもいないからできてしまう。彼氏以外のさおりちゃんに愛を与える男たちは、彼氏とさおりちゃんの関係に何の影響も生み出さない。
今の彼氏と結婚したい? と聞いてみた。

「でも、最後まで出来ないから子供作れないかもだし…」

 天井を見上げながらノラリクラリと話し続ける。

「今の彼氏はフリーだから安定とはほど遠いし…安定してなくてもいいやって思いがちだけど、その選択はきっと正しくないし…」

 らしくなく歯切れの悪い言葉を連ねるもんだから、「もし今の彼氏にプロポーズされたら?」と聞いてみた。食い気味でさおりちゃんは答えた。

「速攻結婚する。在学中でも全然する。子供は、別に色々工夫だってできるだろうし」

 でも、と慌ててさおりちゃんは続けた。

「でも、今の人はきっと結婚って言い出さない気がするから、最終的には私は結婚しない気がする」

 だとしても、気にしないですけどね、とさおりちゃんはまとめた。
それはきっと強がりでもなんでもなく、きっと本当に結婚に大きなこだわりを持っていないのだろう。 彼がしたいと言えばするし、別に言われないならしなくてもいい。
“好きな人と一緒にいたい”ただ、それだけだ。とても簡単なことだ。

目の前の相手をとことん愛せる強さ

 この連載が始まってから、「妥協ができない」という女性の声を、腐るほど聞いた。
「妥協さえできたらたくさん男はいるのに」そういう文脈だ。

 さおりちゃんは、彼氏にたくさん不満を持っている。セックスもできていない。ほかの人と遊んだりもする。でも、彼氏とこれからも一緒にいたい、と思っている。
要素だけ見ればさおりちゃんは、「妥協している」と言えるのかもしれない。でも本人はまったくくそうは思っていない。
「合わない部分も不満な部分もそりゃたくさんある」ことを、当たり前のこととして受け入れている。
それは “好きだから”だ。「妥協できない」と騒いでいる人は結局は「好きな人がいない」ということなんだよね。

 街でナンパをしお酒を飲み始めて4人目、初めて男性について笑顔で語る女性に会った。 彼女は、自分が幸せな状況を作るコツを知っている。これまでに彼女を愛してきた男たちが、その方法を彼女に伝えてきた。
男や恋愛を信じ続けられている彼女は、疑問なくそのコツを実践し続けられている。
愛され続けた女は、強い。
ひとたび男に傷ついてしまった女は素直な恋愛が本当にできないんだなあと、目の前に居るさおりちゃんとみんみんという2人の22歳を前にしてつくづく思った。

 最後にさおりちゃんの秘密をお伝えしよう。初めましての飲み会のお開きが近づいた頃、とりとめのない話の中で、さおりちゃんが言ったこと。

「高校生の時からA社のバイブが好きなんですよ。今もすごい欲しいローターあるんですけど、高いんですよね」

 意外でしょ? さおりちゃんはただ単なる大人しい彼氏思いの子? いやいや、人間そんな一筋縄じゃいきません。人間、意外なことだらけの塊だ。

 新橋、高円寺と来て、次回は東京のオシャレエリアへと突入します。果たして、オシャレエリアでナンパに乗ってくれるような人が居るのだろうか…!!! 待ちゆくリアルな恋バナがここにある…!
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