タメ語でレスしてくる男性に…

こういう「刷り込まれた常識」って、なかなか自分では気が気づきにくいものですが、つい先日も、「なんでわたしは、そうしなくてはならないと思い込んでいたのか」と思ったことがありました。SNSでの、タメ語レスについてです。

これまで、見知らぬ男性から届くツイッターのリプがタメ語であると、そのたびにイラっとしてきました。だって、さして親しくない他人や、見知らぬ人と話すときは、敬語を使うのが基本じゃないですか。なのに、なぜだかツイッターでリプをしてくる男性の中には、いきなりタメ語を使ってくる人がいる。

一説によると、男尊女卑の傾向にある男性は、女性に対してはタメ語で語りかけるくせに、男性には敬語を使うそうで、確かに上司や習い事の先生といった目上とされる人にいきなりタメ語で話しかける人はいない。だから、タメ語で話しかけられてるたびに「下に見られている」と少し苛立ちを募らせつつも、わたし自身は、見知らぬ人だからタメ語で返すのは失礼だと、敬語のリプを返していたのでした。

つい先日も、ツイッターでタメ語のリプをいただき、「なんで会ったこともない相手に、平気でタメ語なのかな……」と苛つきながら、敬語でリプ返しをしようとしていたところでふと「敬語で返すことなんて、なくないか?」と思いついたのです。リプをくれた相手の年齢も立場も知りませんが、ツイッター上に於いては、例え年上だろうがどこかの偉い先生だろうが、それでわたしよりも“上”ということにはならない。ならば、向こうがタメ語で話しかけてきた以上は、タメ語で返すことが対等です。

むしろ、タメ語で話しかけてくる男性に敬語で返すことは、女性差別を助長していることになるのではないか。そう思ってタメ語で返したところ、リプしてきた主は、特に気分を害した様子はなく、わたしのほうも、自分がタメ語でリプを戻したことで、「失礼だ」という苛立ちがすっかり消えたのです。これまでイライラしていた懸案が、こんなにもあっさりと解決するなんて……これからはタメ語にはタメ語で返す。倍返しだ!

Text/大泉りか

初出:2020/6/6