不倫カップルが「実は私たち付き合ってて…」と宣言したがる理由

デートする男女 Huy Phan

行きつけの店で、顔見知りの男女と三人で飲んでいたとき、女性がお手洗いに行くといって席を外した隙に、男側からこう告げられたことがありました。

「実は彼女と、付き合ってるんだ」。

それまでふたりは仕事の関係だとばかり思っていたので、びっくりした……というか、そもそもその男性は既婚者なのです。なんだ、お前ら不倫の関係にあったのか!

もちろん「不倫! 汚い!!!」なんていうつもりはさらさらありません。なぜなら、わたしも過去、独身時代に既婚者と関係を持っていたことがある。というか、なんならこのふたりと同じように第三者に「わたしたち、実は付き合ってて」と報告した黒歴史を持っているからです。

目を背けたい黒歴史が、いま目前で再現されるという地獄。ふたりの交際宣言を前に、わたしはいったいどういう態度を取ればいいのだろうかと迷いあぐねていると、お手洗いから戻ってきた女性が、「言ってくれた? わたしたち、そういうわけなの」とニコニコと満足気な笑みを浮かべていて、ああ、これは女側が主導の行為だったのかとも確信しました。

なぜ彼女は宣言したがったのか?

独身女性にとって、既婚男性と付き合っていることを宣言するメリット。それはその男性と付き合っているということを、周囲に認められることです。
「わたしは彼の遊び相手ではなく、愛されている恋人だ」と確証になるひとつが、周囲の公認。妻の耳に届いたら、慰謝料請求されるかもしれないリスクを考えても、彼の特別な存在であるという裏付けが欲しい。

既婚男性をそこまで好きになってしまった彼女に非があるわけではなく、もちろん好きにさせてしまった既婚男性が完全に悪というわけでもなく、ただただ男と女の致し方ない痴情だと思うのですが、報告された側の立場は微妙です。

だって公認して不倫行為に加担するか、はっきり拒否するにしろフェイドアウトするにしろ、ふたりとは関係を断つかの二択を迫られるのですから。