もう「オジサン」になった彼のセクハラ予防には、わたしが怒るしかない

結婚後も合わない価値観

無表情で並ぶ男女2人のモノクロ画像 Rene Asmussen

 先週まで書き紡いできている当時の新しい恋人(つまり今の夫)は、わたしととても価値観が合いました。

 例えば、誕生日やクリスマスといった記念日の過ごし方に対するスタンス。当日に動かせない仕事や別の用事があれば、日程を調整して後日に回しても不満を抱かないことや、プレゼントはモノではなく、旅行などの“共通で出来る体験”を贈り合うほうが嬉しいこと。

 もちろん世の中には、記念日当日を一緒に過ごすことに価値をおく人や、しっかりと手元に残って、目にするたびに嬉しい気分が蘇るモノを贈られたいという人がいることも理解しています。どちらが正しいというわけではなく、どちらを好むかという話で、たまたまわたしと夫はその点で「価値感が同じ」だったのです。

 ただし、お祝いのディナーをするお店については、最初は擦り合わせが必要でした。わたしはフレンチやイタリアンといった、ちょっとしゃれた店でシャンパンが飲みたかったし、恋人はあまりそういう店が得意でなかった。何度かリクエストして行ったところ、店の雰囲気に押されてまったく楽しめていないのがあからさまで、当然、一緒にいる人が居心地悪そうにしていては、こちらも楽しめません。

 そうして出した結論は、「ナイフとフォークの店は、同じ価値観の女友達と行けばいい」ということでした。恋人とのお祝いは、伝統のある猪鍋の店や、老舗のすき焼き屋、カウンターの鉄板焼きといった、特別感はありつつも、さほどかしこまらなくていい店のディナーが、いつしか定番となったのです。

 このように、記念日のイベントに対する価値観はほぼ一致していましたが、一方で、結婚した今になっても相容れない価値観があります。