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  • 2017.10.07

「エロいこと」を仕事にしているわたしが結婚にたどりつくまで

あなたが恋人に一番求める条件はなんですか?大泉りかさんの場合は、「エロいことを仕事にしているわたしを認めてくれること」。条件にかなわない人を好きになってはお互いに傷つく…そんな繰り返しの果てにようやく結婚にたどりつくまでの、闘争の記録が綴られ始めます。

「エロの人」のわたしを認めてくれる人

森の中で光ある方を見上げる女性の画像
by ierdnall

「顔が好み」だとか「背が高いこと」とか、「いい企業に勤めている」や「収入が安定している」「一人暮らしを経験したことがある」「趣味があう」「思いやりがある」「浮気をしない」「子供が欲しいと考えている」などなど、付き合う相手を決める時に、何を条件として挙げるかは、人それぞれだと思います。わたしが絶対に譲れないのは、「エロいことを仕事にしているわたしを認めてくれること」でした。

 高校時代はオジサン相手にパンツとハルを売り、大学に入ってからはSMショーに出演して素っ裸で縛られたりフェチビデオに出演したりと、いろいろしておりましたが、その当時に男性と付き合うことになっても、仕事について、自分から告げることはありませんでした。なぜならば、そういった「アルバイト」は、裏でこっそりと黙してするものだと考えていたからです。

 しかし、わたしにとってエロで生きる、エロく生きることは、一過性のことではなかった。大学を卒業後、脱ぎ仕事とエロ系のライターとエロ系出版社での編集者という三足の草鞋を履いたことで、やがて周囲の人々からは「エロの人」と周知されることになりました。しかし、それは決して都合が悪いことではありませんでした。なぜなら、わたしは「エロの人」というキャラクターを得たことで、自らの生き方をだれに隠す必要もなくなり、それまでとは段違いに、のびのびと生きやすくなったからです。

 もちろん一方で、そういったわたしの素性を、事前に知ることなく出会う人もいました。例えば学生時代の友人が設定した、合コンや飲み会などで知り合う人たちです。けれども、そういう場で自分の身を明かすと、面白がられるというメリットはありつつも、「ちょっと違う人」と距離を置かれることがあるだけではなく、何が気に食わないのか時には説教をしてくる人もいたりして、面倒くさい。なので、そちらでは、手当たりしだいに理解を求めるようなことはせず、「この人とはもっと知り合いたい」と思った人にだけ、こっそりと告げるようにしていたのでした。

 ゆえに、社会人になってから付き合った男性は、全員が付き合う前から、わたしがピンク色の世界で生きていることを、知っていた人です。しかし、知っていたからといって、付き合いがスタートした後、そのことを許容してくれるとは限りません。むしろ、許容できない人のほうが多い。だから、わたしがこれまでしてきた恋愛は「どうやってわたしのパーソナリティを認めてもらうか」という闘争の記録でもあります。

私を認めてくれる人と結婚にたどりつくまで

「恋人のやりたいことを尊重する」という意識は、多くの人が持ち合わせていると思うのですが、一方で「自分がして欲しくないことは、しないで欲しい」と考えるのも当然です。恋愛の常識でいえば、「恋人のセックスを独占できる」のは当たり前のこと。ゆえに、「彼女が外で脱ぐ」「彼女が他の男とエロいことをする」「彼女がエロいことを売りにして、スケベな男性がエッチな視線を向ける」ということに、嫉妬をおぼえるばかりでなく、自分が軽んじられているような気持ちを抱く男性のことを、責めることはできません。

 だから、前もってわたしのパーソナリティを知っていて、付き合ったはずの男性が、いざとなって「そういう生き方は辞めてくれ」「そういうことをするのは辞めてくれ」と苦言を呈してくると、「それはもっともだ」という気持ちと、「したいことを邪魔しないでくれ」という相反するふたつの気持ちがせめぎ合って、葛藤する。

 恋人を選ぶ時に、優先すべきことは、「エロいことを仕事にしているわたしを認めてくれる人」だと理解しているのに、条件にかなわない人を度々好きになってお互いに苦しむ――そんな恋愛をくりかえしながらも、パーソナリティを認めてくれる人との結婚になんとかたどりつきました。その道のりについて、次回からしばらく、綴っていきたいと思います。自分と恋人の間で、折り合いがつかなくて苦しんでいる女性が、少しでも楽になって勇気を得るきっかけになっていただけると幸いです。

Text/大泉りか

次回は <わたしは「つまんない女」なんかじゃない。エロの世界に飛び込んだころの彼の言葉>です。
「エロいこと」を仕事にしている大泉りかさんが、現在の結婚にたどり着くまでの軌跡を辿ります。今週は、初めて人前で脱いだ頃に付き合っていた恋人の話。酒に酔うたびに「つまらない女」だと挑発してきた彼との出会いと別れとは。

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。
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