対等な人間が、やがて恋に流れこむ感動

 おそらく、サラちゃんにも、関根くんのことをわかってあげたいとか、救ってあげたいという気持ちがある。無趣味な彼に編み物を教えるのだってそうだし、泣いてる彼にちゃんと自分と向き合うよう諭すのだってそう。とにかく彼女は、彼のことをまじめに考え続けている。淡々と、しかし愛情深く。

「だいぶ前に私/一つ決めていたコトがあるんです/次に見つけた関根さんの恋は/きっと全力で強力しようって/何でか思っていたんです/多分/好きだと気づく前から/どんな形でも関根さんには幸せになってほしかった」

 どうですかこの無私の精神! ホントいい女だサラちゃんは!
器用貧乏な王子様に必要なのは、恋に恋する女の子じゃない。必要に応じて自分の恋愛ボタンを一時停止し、王子様を冷静に見つめられる女の子だ。

 ここまで書いてきてふと気づいたのだが、どうやらわたしは、彼らの「バディ感」みたいなものにも萌えているようだ。ふたりが対等な人間としてコミュニケーションしているからこそ、恋愛になだれこんだ時の感動が大きいのだと思う。
泣き虫だろうが、からっぽだろうが、サラちゃんがいれば、器用貧乏な王子様の人生はきっと楽しい。関根くんよ、どうかいつまでもお幸せに!

Text/トミヤマユキコ

次回は <画業50周年の大和和紀先生代表作『はいからさんが通る』を存分に語ろう>です。
2016年に画業50周年を迎えた大和和紀先生といえば『あさきゆめみし』、そして『はいからさんが通る』ですよね!展覧会が開かれ、宝塚で上演され、アニメ映画も公開されました。あなたは忍と冬星、どっち派?