「わかった」の意味を考える
まず、「異性がいる集まりに参加する場合は、事前に恋人に一言言ってから行くのが当たり前」というのはあくまでもあなたの考え方ですよね。
あなたと同じ考えの人もいるかもしれませんが、彼のようにわざわざ言う必要がないと考える人もいますし、恋人がいるのであればそもそも異性がいる集まりに行ってはいけないと考える人、異性と二人きりなら言うべきだけれど複数人の集まりなら言わなくていいと考える人、付き合っているからには互いの予定はどんなものであれ共有したいと考える人もいます。
今回の件に限らず、恋愛をする中でも自分自身の生活においてもそれぞれが自分の価値観を持っていますから、誰かとお付き合いしたり結婚するときに擦り合わせが必要なのでしょう。
最初に彼があなたに黙って異性のいる集まりに参加した際に、あなたが「自分がそういう風に思っているということを伝えていなかったので彼を咎めることはしなかった」というのは、とても冷静でよい行動だったと思います。
その件が本人の話から発覚したということは、おそらく「この前高校のクラスメイトと久しぶりに会ったときに〇〇ちゃんがさ~」のように、話の流れで異性の名前が出てきたのかなと推察します。
このことから、彼は隠そうとしたわけでもやましい気持ちがあったというわけでもなく、真に「付き合っている人がいる以上は異性がいる集まりに参加するときは、事前に一言断りを入れる」という価値観を持っていなかったのではないかな、とわたしは感じました。だからといってあなたとの約束を破っていい理由にはなりませんが。
異性の集まりに黙っていくことよりも、約束を何度も破ること、あなたが何度も嫌だと伝えている行動について真剣に受け止めていないことのほうが問題です。
要するに、できない約束ならハナからすんじゃねぇよっつー話なんです。
さて、彼が約束を破るたびに、あなたはどんな風に彼を咎めていますか?
「もう! ちゃんと事前に言ってって約束したじゃん!」と軽く文句を言うような感じだったのでしょうか。
その都度、膝を突き合わせて真剣な雰囲気で懇々と話すのも憚られるだろうとは思います。でも、「もう! また約束破って! ちゃんと事前に言ってよね!」「そうだった! ごめんごめん!」なんて軽いやりとりを重ねていると、同棲や結婚生活でありがちな「もう! 靴下は裏返して脱がないでっていつも言ってるでしょ!」「あーごめんごめん」のようにやりとり自体が習慣化してしまい、いくらあなたが真面目でも彼にとっては重く受け止めなくてもいい事柄、という認識になっているかもしれませんね。
また、彼はあなたの要望に対して毎回「わかった」と言っていますが、それはあなたの考えを理解して納得したうえでの言葉なのか、それともよくわかっていないけれどあなたが不満に思っているからとりあえず言うことを聞いておいたほうがいいな、とその場凌ぎの言葉なのかによっても変わってきます。
「わかった」の言葉の意味が後者で、さらにやりとりが習慣化してしまっているのであれば、改善されるのは難しいだろうな、と感じました。
ちなみにですが、何度も約束を破ることを繰り返してしまう理由を彼に聞いたことはありますか?
少し話は逸れますが、わたしの男友達の話をさせてください。
価値観のすり合わせを怠った夫婦
わたしには学生時代からずっと気の合う男友達がいました。
男女数人で一緒に旅行に行くほど仲がよく、ときには2人きりで遊びに行ったり飲みに行くこともありました。
彼に対しては友愛以上の気持ちは一切ありませんでしたし、男女の関係になったことはただの一度もありません。純粋に、仲の良い友人です。
ただ、彼が結婚し、奥さんとなった人は、これまでの付き合い方や性格など関係なくそもそも女友達の存在をあまりよしとしない考えを持っていました。
結婚したからには奥さんが嫌がる行動は慎むべきだと思いましたし、彼とはほんとうに仲がよかったため寂しい気持ちはありましたが、仕方のないことだと受け入れ、以前のような付き合い方はしなくなりました。同様に彼と付き合いがあった友人たちはみな、あの頃に比べてだいぶ大人になって忙しくもなりましたから、「年に1~2回、年末やお盆に会えたらいいよね。集まるときはその男友達にも一応声だけはかけておこうか」というのが、わたしを含め友人たち共通の認識でした。
何年か前、忘年会と称した飲み会にその男友達が久しぶりに参加したのですが、彼は奥さんの了承を得ずに来ていたことがあとからわかったのです。
飲み会に参加する前に、彼は奥さんをきちんと説得するなり、自分の気持ちを伝えて価値観の擦り合わせをするなりしておけばよかったのですが、「どうせわかってくれないし」という考えからそれを怠りました。
彼は、結婚してすぐに奥さんから「女友達とは会っちゃだめ、連絡も取らないで」と言われた際、面倒くささから「あ~わかったわかった」と適当に聞き流したという経緯があります。結果、彼はその飲み会に参加したことがバレ、奥さんはその一件があってから「また嘘をついてるんじゃ、約束を破るんじゃ」という不安で、スマホをチェックしたりより一層友達付き合いの制限を厳しくするようになったそうです。
それによって彼も窮屈さを感じ、やましいことなんて何ひとつないのに、出掛けるときに嘘をついたり、LINEの履歴もいちいち消したりなど、奥さんと向き合うことよりも奥さんの目を掻い潜ることに力を注ぐようになりました。そしてまた同じようにバレて、さらに制限が厳しくなり……という悪循環に陥っているのが現状のようです。
わたしはこれまでの恋人や夫に対して異性の友達の存在を不快に感じたことはないため、もともと彼の奥さんとは価値観が違う人だなと思っていましたし、女友達を会おうとする彼がおかしい、だからスマホを見るのは正当な行動だ、と自分の価値観を彼に押し付ける奥さんの姿勢には賛同しかねます。
ただ、それ以上に男友達が最初の段階でその場を凌ぐことしか考えず、奥さんと価値観の擦り合わせることを怠った結果だな、と彼に対して擁護する気持ちになれない自分もいます。